十月 10

ミニマル・ミュージックの巨匠 Steve Reich 登場!

エレクトロニックミュージックこそが今の時代のフォーク音楽

 

Red Bull Music AcademyとInter FMがタッグを組み日本から世界に向けて音楽を発信するプログラム、『PLAY, JAPAN! Red Bull Music Academy Radio』第15回目の放送には、最小限に抑えた音型を反復させるミニマル・ミュージックの先駆者、作曲家Steve Reichが登場。デトロイト・テクノ、ハウス界のパイオニアとして、シーンに大きな影響を与え続けるレジェンドLos HermanosのGerald Mitchellが、音楽の街デトロイトの人気クラブから、アンダーグラウンドパーティ事情までガイド。未来的サウンドのセンスの持ち主、emufuckaが、彼の音のアンテナにひっかかった最近のFavorite Tunesを紹介。上記プレイヤーよりアーカイブをお聞きいただけます。番組内での英語コンテンツPart 1の要約とPart 2の翻訳を掲載、Part 3は日本語でのインタビューですのでそのままお楽しみください!

 

 

Part 1 Featuring : アーティストと音楽の関係に内面から迫るインタビュー
ニューヨーク生まれのSteve Reichは、現存する最も偉大な作曲家の一人である。どこか異国情緒を感じさせながらも、どこにも属さない普遍性を持つスタイル、ミニマルなパターンによる複雑な構造、洗練された演奏と自然音の融合 —— 現代音楽という括りを越えて尊敬を集めつづける巨匠の、創造力の背景にはどんな考えがあるのだろうか。

 

14歳のときに、初めて「The Rite of Spring」(ストラヴィンスキー)、ビバップ、Charles Parker、Miles Davis、とドラマーのKenny Clarkを聴きました。僕よりずっとピアノが上手い、ジャズをやっていた友達が、「バンドをやるならドラマーが必要だ」というので、僕がドラマーになったんです。こうして、14歳の頃から、その後ニューヨーク管弦楽団のティンパニ奏者になったRoland Kohloffからドラムを教わり始めました。1955年頃のことです。その頃は、またテープというものが存在していませんでしたから、テープを使うようになったのはずっと後。確か高校生のときに、誰かが「テープレコーダーって知ってる?」と言うので、「何それ?」と聞いたら、音を録音しておくことが出来るものだというんです。要するに、世界大戦中にアメリカ軍がドイツに進攻した際に、ドイツがテープレコーダーというものを開発していたことを知ったんですね。私が初めて触ったテープレコーダーもWollensakというドイツ製のもので、これを「It’s Gonna Rain」の制作にも使いました。


1964年の年の瀬に、今は名前を忘れてしまった、映画を作ろうとしていた友人がいました。彼が、「ユニオン・スクエアーで信じられないくらい凄い黒人の宣教師を見た。絶対録音した方がいい!」と言ってきたので、小さなポータブル・レコーダーと安物のマイクを持って、録音しに行ったんです。日曜日にそこへ行くと、Brother Walterと名乗る牧師さんが、ノアの洪水、要するに世界の終わりについて話していた。その前年、1963年は、キューバのミサイル危機があった年だったのです。


音楽が最初に生まれたとき、どんな風だったかは想像することしか出来ませんが、まだ音符という概念はなかったでしょう。それは間違いありません。現存する最も偉大な音楽学者といえば、私はRichard Taruskinだと思いますが、彼は全六巻に及ぶ『Oxford History of Western Music』という著書を書き上げました。その上で、彼はこう言いました。「私が記述したのは、音楽が楽譜に記されるようになって以降のことだけです。なぜなら、楽譜になった音楽は資料として参照出来るから」だと。現在のもとはだいぶ違うとはいえ、楽譜が書かれるようになったのは10〜11世紀頃のこと。楽譜のようなものは他の文化圏でも存在していますが、音楽全体に対して、楽譜で記されているのはほんのごく一部。私などは、音楽を書き留めることに人生の大半を費やしてきたわけですが、未来の音楽はどうなっていくんだろうかと考えてしまいますね。


1960年代半ばのアメリカには、”harmonic stasis”という概念を取り巻く特別な空気がありました。インドのRavi Shankarや、インドネシア/バリの音楽、アフリカのドラム音楽、John Coltrane、Junior WalkerなどのMotownサウンド、それにBob Dylanのファースト・アルバムの収録曲の多くも、ワン・コードで作られていました。こうした、いわゆる「西洋音楽」以外からの影響が強く反映されていた。それがなければ、私の作ったような音楽が生まれることはなかったでしょうし、Terry Rileyが「In C」を書くこともなかったでしょう。そのときの環境や状況に、音楽は大きく左右されるのです。今手に入るようなハードウエアが存在していなかったら、作られる音楽も全然違ったものになっていたでしょう。人間というのは、周囲との関わり合いの中で何かを生み出していくのです。フォーク音楽にしても、ポップ音楽にしても。あの時代にBob Dylanがフォーク音楽を、ロック音楽に昇華させたように、今の時代は楽器屋のショーウィンドウに電子機材が並んでいますよね?つまり、エレクトロニック・ミュージックこそが、今の時代のフォーク音楽なんです。私はそう思いますね。


私の世代の人たちの多くが、インドなどの音楽に飲み込まれてしまったと思いますね。インド、インドネシア、アフリカといった場所は、何千年という音楽の歴史があります。私はこうした場所の民族楽器を持ち帰って、自分の音楽の演奏に使ってみました。正確なピッチがどうなのかもよく分からなかったので、ピアノに合わせてみたらズレる。こうしたことを試しているうちに、自分はアフリカ人にはなれないから、アフリカ音楽を極めることは出来ない。でも、そこから学ぶことは出来る、と悟ったのです。私が学んだのは、その音楽的な構造でした。構造は、音そのものとは無関係に伝えることが出来ます。ただの器です。だから、その中に何を入れようが —— スコッチでも、Red Bullでも、器は変わりませんから。音符は、例えばバリのチューニングは私たちのそれとは全然違います。あるとき、私にガムランをプレゼントしてくれた人がいたんですが、すぐに博物館に寄付しました。自分の属さない文化を背負うという重みに耐えられないからです。私はマンハッタンの楽器屋に行く方がいい。そこで売っているものは、全て自分に相応しい楽器であると言えます。

 


コンピューターが出現するまでは、音楽ノートと、マルチトラック・テープレコーダーをセットで使っていました。私は、曲を作るときにその音を聴きながら作ってきました。例えば、ピアノ一台で他のパートもイメージしながら作るというような器用なことは出来ません(笑)。何らかの方法でそれぞれのパートを模倣した音で確認しないとダメなんです。その方法のひとつが、83〜84年にTASCAMが開発したマルチトラック・レコーダーを使うことでした。「Music For 18 Musicians」もそうやって作りましたし、その後も10年ほどは使い続けました。MIDI技術が出現するまでですね。「Different Trains」はMac Plusで、Professional Composerという名前ばかりで15秒ごとにクラッシュしてしまうプログラムを使って作りました(笑)。とても初期の技術でしたが、コンピューターなしには作れなかった作品です。音声を使った曲は決まった音符にはまりませんから。もちろん音声を加工してピッチを変えることは可能なのですが、私は録音した素材をそうやって変えてしまうことは好きではありません。特に「Different Trains」と「The Cave」は音声に手を加えるべきではないと感じました。ですから、逆に声に合わせてテンポとキーを45秒くらいの間隔で変え続けなければいけなくなりました。そんなことはそれまでやったことはありませんでした。通常は、ピアノを使ってノートに基本的なハーモニーを書き留めたら、そこからはかなり直感的な作業になります。コンピューターで再生しながらディテールを詰めていくのですが、その結果、いつも大量のゴミが出ます。私のコンピューター上のゴミ箱はすぐに一杯になってしまうんですが、そうやって作り上げていくしかないのです。


 Steve Reich Official

 

 

Part 2 AROUND THE WORLD: 世界の音楽シーンをキャッチ!
デトロイト・テクノ、ハウス界のパイオニアとして、シーンに大きな影響を与え続けるレジェンドLos HermanosのGerald Mitchellが登場。デトロイトの遊び方をガイド。

 

デトロイトは、モータウンから始まり長い音楽の歴史が溢れるミュージックシティ。ジャズクラブ、ヒップホップクラブ、ハウス。そして、教会にいけば、素晴らしいゴスペルを聞く事ができる。


週末にハウスミュージックで踊りたいなら、ダウンタウンにある、<Nothern Lights>。LIVEでは、Stacy HotwaxやJohn Colinsが、TVで、Moodymannや、Theo Parrishをキャッチできる。


更に、ゼネラルモーターズがあったロフトビルで行われるGot Mixというパーティがアツい。デトロイトの夜は早く、通常午前3時に街は寝てしまうが、Got Mixは、夜7時から朝7時まで。ミュージックラバー達が躍り明かすリアルなアンダーグラウンドスポットなんだと、ガイドしてくれました。


Los Hermanosの最新作『Descendants of The Resistance』は、Chris Press、これまで活動を共にしてきたBill Beavers、ヒップホップシンガーのJ.Richらを迎え、デトロイトのラテン、ジャズ、テクノ、そしてハウスサウンドを世界に発信する作品となっています。

 

 

Part 3 Experience : Red Bull Music Academyに参加した日本人アーティストが体験談やサウンドをシェア
参加:New York City 2013 | Red Bull Music Academy


アカデミー参加者emufuckaの最近のFavorite Tuneがこちら