十月 04

RBMA Berlin 2018:ヴィジュアルアート フォトギャラリー

KÖNIG GALERIEのオーナーがキュレーションを担当したFunkhaus内に展示されているヴィジュアルアート群を紹介する

By Red Bull Music Academy 

 

2018年に20周年を迎えたRed Bull Music Academyは、ベルリンにある世界最大の複合スタジオ施設のひとつとして知られるFunkhausを会場にしている。

 

毎年、Red Bull Music Academyは開催期間を通じて会場内でアートエキシビションが展開しているが、今年はベルリンのトップギャラリーのひとつ、KÖNIG GALERIEのオーナーJohann Königがキュレーションを担当した。

 

また、Red Bull Academyのスピリットを表現するために、エキシビションには若手からベテランまで複数の世代のローカルアーティストが集められており、作品のメディアとメソッドも、油彩、素描、写真、彫刻と多岐に渡る。作品の多くには夢に出てくるような生物やポップカルチャーのシンボルが用いられており、Funkhausをどこかで見たことがあるようでないようなクリーチャーとキャラクターに溢れた世界に変えている。

 

 

 

 

Andy Kassier

 

 

“The Science of Happiness” ©Andy Kassier / Photo by Fabian Brennecke

 

 

Andy Kassierはセルフポートレイト、彫刻作品、インスタレーションを通じて、現代における自己表現のあり方を問うアーティストだ。パーフェクトであることの意味とは? インフルエンサーになる意味とは? 名声を得る意味とは? Kassierは、非常に重要な関係と言える「裕福と幸福」にフォーカスしながら、テクノロジーに溢れる現代社会における美意識、ジェンダー、ナルシスト的行動に疑問を投げかけている。1989年にベルリンに生まれたKassierは、現在もベルリンで活動を続けている。

 

《主な展示》

 

2018年:On the internet, nobody knows you’re a performance artist @NRW-Forum(デュッセルドルフ)

2017年:From Selfie to Self-Expression @Saatchi Gallery(ロンドン)

 

 

 

 

Aneta Kajzer

 

 

“I’ve Got No Brain Baby” ©Aneta Kajzer / Photo by Fabian Brennecke

 

 

Aneta Kajzerの作品群の中には社会的問題 - 多様性、軋轢、敵対 - を見出せるが、その独特の緊張感が新たな美観やコンセプチュアルなテーマを生み出していく。活動を絵画に絞っている彼女は、比喩的表現と抽象的表現の間に位置する、非常に対立的な画風の作品を生み出している。

 

《主な展示》

 

2018年:Out of Touch @Künstlerhaus Bethanien(ベルリン)

2018年:Guilty Pleasure @Warte für Kunst(カッセル)

 

 

 

 

Christian Hoosen

 

 

"Püppi röm. Eins” ©Christian Hoosen / Photo by Fabian Brennecke 

 

 

1981年生まれのChristian Hoosenはベルリンに拠点を置くアーティストで、表現主義時代の詩を想起させる彼の素描、絵画、コラージュは、エキセントリックなキャラクターに満ちている。Hoosenは、不思議なクリーチャー、いびつな表情、コミカルな人物などを組み合わせながらワイルドな箱庭型ユニバースを作り上げることで、過ちと不完全のメランコリーを喚起させている。

 

《主な展示》

 

2018年:Christian Hoosen @Galerie Tore Suessbier(ベルリン)

2015年:Christian Hoosen @Villa Schöningen(ポツダム)

2013年:Es Muss So Sein @Hamburger Kunstverein(ハンブルク)

 

 

 

 

Conny Maier

 

 

“Dorf” ©Conny Maier / Photo by Fabian Brennecke

 

 

Conny Maierの作品群には、貧困、孤独、社会的葛藤などの社会文化的トピックが反映されている。彼女の大型の絵画作品は、幾何学的形状、カラフルな色彩、抽象的要素をユニークに組み合わせることで、貧困と裕福の境界線をぼやかす現代社会のコラージュを生み出す。ベルリン出身の彼女は現在もドイツの首都を活動拠点にしている。

 

《主な展示》

 

2018年:My body doesn’t like summer @Haverkampf Galerie(ベルリン)

2016年:HIDEOUT FM @Hideout FM Gallery(ロサンゼルス)

 

 

 

 

Janes Haid-Schmallenberg

 

 

“Dinos und Bullen”(2018)©Janes Haid-Schmallenberg / Photo by Fabian Brennecke

 

 

1988年にドイツ中北部ヴァールシュタインに生まれたJanes Haid-Schmallenbergは、現在はベルリンに拠点を置いている。わざと雑に描き、断片化・コード化された独特の言語を生み出していく彼の油彩作品・彫刻作品・水彩作品は、抽象と比喩の間で極限のバランスが取られており、絶対的な正解が存在しないパズルのような印象を与える。

 

《主な展示》

 

2018年:Luck, Logic and White Lies @Storage Capacité(フランクフルト・アム・マイン)

2014年:Bocca Della Verita @Epicentro-Art(ベルリン)

 

 

 

 

Karl Horst Hödicke

 

 

複数展示(1975-1995)©Karl Horst Hödicke / Photo by Thomas Meyer

 

 

1980年代の新表現主義を牽引し、ドイツ国内の主観的絵画表現 “新野獣派” に大きな影響を与えたKarl Horst Hödickeは、ショップの窓、建築現場、中庭などをテーマにした大型の絵画作品群を通じて、進化を続けるベルリンの様々な表情を切り取ってきた。その豊富な作品群の中には、油彩の他に彫刻や映像も含まれる。1938年にドイツ・ニュルンベルクで生まれたHödickeは、現在はベルリンに拠点を置いている。

 

《主な展示》

 

2018年:FRÜHE OBJEKTE - SPÄTE BILDER @KÖNIG GALERIE(ベルリン)

2017年:Ich Bin Ein Berliner @Tajan(パリ)

2013年:K. H. Hödicke: Malerei, Skulptur, Film @Berlinische Galerie(ベルリン)

 

 

 

 

Kevin Kemter

 

 

“o.T._16.10.16” ©Kevin Kemter / Photo by Fabian Brennecke

 

 

作品を通じて鑑賞者を自分の視点や経験へ導いていくKevin Kemterは、空間的なインスタレーション、素描、写真、文章に取り組んでいる。近年の彼は、フィクションがリアリティをどう生み出すのか、そしてリアリティがフィクションをどう生み出すのかに興味を持っている。1984年にベルリンに生まれたKemterは、今もベルリンを拠点にしている。

 

《主な展示》

 

2017年:Bildhelmausstellung @EIGEN + ART Lab(ベルリン)

 

 

 

 

Lindsay Lawson

 

 

“Money Viper” “Newspaper Python” “Pencil Constrictor”(2018:右から時計回り)©Lindsay Lawson / Photo by Fabian Brennecke

 

 

1982年にミシシッピ州ビロクシに生まれ、現在はベルリンで活動しているLindsay Lawsonの作品群は、映画、映像、インスタレーション、写真、彫刻、文章、そして彼女が “Agreements” と呼ぶある種の契約作品まで多岐に渡る。その中には、仮想空間・現実世界における客体性の存在と作用について考察している作品も含まれている。Herald St(ロンドン)、Frutta Gallery(ローマ)、LAXART(ロサンゼルス)、Yossi Milo Gallery(ニューヨーク)などでの展示実績がある。

 

《主な個展》

 

NOPE @Gillmeier Rech(ベルリン)

Wokeness @Galerie Lisa Kandlhofer(ウィーン)

 

 

 

 

Lukasz Furs

 

 

 

“Untitled (Mumin)” (2018)©Lukasz Furs / Photo by Fabian Brennecke 

 

 

1983年にポーランド・トゥホラで生まれたLukasz Fursは、現在はベルリンとハンブルクを活動拠点にしている。Fursの絵画と彫刻は、ありふれた素材や対象を用いて、日常生活の中で見過ごされがちな出来事を「フレームに入れた瞬間」として観察している。インスタレーションには、流れる滝のように配置された木材や、大きな穴が開けられた壁など、動的な要素が含まれている作品が多い。

 

《主な展示》

 

2017年:Serviervorschlag @Westwerk(ハンブルク)

2016年:No one knows what it means, but it’s provocative @Galerie 7TÜREN(ハンブルク)

 

 

 

 

Marion Fink

 

 

“Neither certainty nor truth could rearrange their convictions” (2018)©Marion Fink / Photo by Fabian Brennecke

 

 

1987年にドイツ・オーストリア・スイスの国境付近にあるドイツ南西部リンデンベルク・イム・アルゴイに生まれたMarion Finkは、現在はベルリンとポツダムを拠点にしている。夢を描いたかのような彼女の作品は、演劇作品のシナリオのように現実と戯れており、ソーシャルメディアやポップカルチャーの記号群を哲学や文学からの影響と組み合わせたパズル的コラージュになっている。

 

《主な展示》

 

2018年:Offen Vol.2 @Galarie EIGEN+ART(ベルリン)

2015年:don´t! touch touch screen, Eine Tagung für Michael Diers @KW Institut for Contemporary Art(ベルリン)

2014年:Soliloquy @NAU Gallery(ストックホルム)

 

 

 

 

Marta Vovk

 

 

“ZÖLIAKIE” ©Marta Vovk / Photo by Fabian Brennecke

 

 

Marta Vovkは絵画とインスタレーションを手がけているが、アクリル絵の具やWindow Color(Marabu製の児童用画材。窓に絵を描くために使用する)、またはスプレーでリネンやコットンに描いた絵画をメインに据えている。彼女の絵画にはポップカルチャーの要素と、問題を抱えながら生きている現代人の実存への問いが同居しており、この特徴が、チープとペーソスの連想的相互作用を生み出していく。インスタレーションでは、装飾品や遊び道具で鑑賞者を挑発する。1989年にウクライナ・リヴィウで生まれたVovkは、現在はベルリンに拠点を置いている。

 

《主な展示》

 

2018年:Works @Voodoo55(ベルリン)

2017年:Masters Salon @Royal Academy of Fine Arts(アントワープ)

2017年:Quelltext @Brandenburgischer Kunstverein(ポツダム)

 

 

 

 

Ronja Zschoche

 

 

“o.T.”(2018) ©Ronja Zschoche / Photo by Fabian Brennecke

 

 

Ronja Zschocheは、音楽用別名義Haiytiで生み出す鋭いストリート感覚を備えたラップや中毒的なAuto-Tuneヴォーカルから本名で制作する本格的なスケッチやアクリル画、彫刻に至るまで、自分の全活動・全作品は言葉から始まると考えており、全ての駄洒落やオチも、彼女が言うところの「正しいトンネル」を通過することで作品内に居場所が与えられている。ビデオゲームからクロアチアで過ごした幼少時代、そして架空の過ぎ去りしハリウッド生活まで、あらゆるものからインスピレーションを得ているZschocheの作品群には不条理な魅力が備わっている。しかし、彼女の作品群の中で最も不条理なのは、それらが表現しようとしているもの全てが現実に関わっているという点だ。

 

 

 

 

Stefanie Gutheil

 

 

“Kampfwürste”(2018)©Stefanie Gutheil / Photo by Fabian Brennecke

 

 

Stefanie Gutheilのコミカルなキャラクターたちは、立体的な絵画と彫刻作品の中から鑑賞者の前へ飛び出してくる。彼女の作品群はパーソナルかつポリティカルで、ドイツの絵画史をなぞりながら、奇妙なクリーチャーたちを社会不適合でクィアで魅力的な集団として表現している。1980年にドイツ・ラーベンスブルクで生まれたGutheilは、現在はベルリンに拠点を置いている。

 

《主な展示》

 

2017年:Rängedängdäng @Russi Klenner Galerie(ベルリン)

2016年:Blow Up @Arizona State University Art Museum(フェニックス)

2015年:The Home of Mr. Peeps @Mike Weiss Gallery(ニューヨーク)

 

 

 

 

Wieland Schönfelder

 

 

“Nebula Interna and They”(2018)©Wieland Schönfelder / Photo by Fabian Brennecke

 

Wieland Schönfelderは、異世界をイメージさせる3Dプリンタ製立体作品を生み出している。シンプルで秩序だっているスタイルによって彼の作品は展示空間を構築・アレンジし、その中を移動する。1985年にベルリンに生まれたSchönfelderは、現在もベルリンで活動している。

 

《主な展示》

 

2017年:They Are Waiting For The Crystal To Glow Again @A Certain Lack of Coherence(ポルト)

2014年:One Man Unit @Museum Ludwig(ケルン)

 

 

 

Header Photo: "Empire"(2018)©Stefanie Gutheil / Photo by Thomas Meyer