十月 27

The Art of French Boogie

フレンチブギーの迷アートワークを紹介

By Rod Glacial

 

フレンチブギーとは何か。これは我々の分類作業が残したひとつのジャンルであり、YouTubeとSkyblogs(注1)によって有名な存在となったものだ。このジャンルは1970年代後半から1980年代中盤までにリリースされた、アメリカンファンクのフランス版を指していたが、やがてディスコやオールドスクールラップのフランス版も指すようになった。そして、お察しの通り、頭を悩ませるような作品も存在する。

注1):フランスのラップラジオ。ウェブサイトでは様々なアーバンブログを取り扱っている。

 

しかし、このジャンルのアートワークに関しては、頭を悩ませている感じは一切ない。派手さと楽しさが、鮮やかな色彩、強気なタイポグラフィ、露出度の高い衣装、セルフコントロール(もしくは自己表現できているという完全な幻想)などと見事に組み合わさっている。以下に紹介しているこのジャンルを代表する22作品のアートワークは、慈善バザーのダンボール箱の底で永遠に眠らせるにはあまりにも突き抜けたデザインばかりだ。また、今回紹介するすべては45回転シングル(Didier Makagaの33回転の作品群を外したことについて予め謝罪しておく)で、Thierry PastorやSerge Delisle、伝説のDJだったMicky Milanや往年のスターMIchel Fugain、そしてPlaisirからRegretsまでもが含まれている。

 

Thierry Pastor - Coup de folie

 

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アートワークの面白さは意図的なものから来るとは限らない。アルジェリア出身のThierryは金色のロゴを好み続けた。「La Fille du Nordica」を隠れヒットさせたアーティストとしても知られている。

 

Micky Milan - Quand tu danses

 

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パリ郊外のクリシー=ス=ボワにあるクラブ、l’Echappatoireの有名なDJで、1970年代から1980年代にディスコファンクをヒットさせたMicky Milanがフロアで踊る官能的な女性を眺めているアートワークだが、別に驚くことでもない。彼はSalsoulと初めて契約したフランス人アーティストだった。

 

Alec Mansion - Trop triste

 

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「Trop triste」(悲しすぎる)というタイトルがすべてで、このアーティストの輝きそのものを奪っている。Alec Mansionはこのジャンルのトップアーティストのひとりだったが、フランスではなくベルギー出身だ。

 

François Feldman - Ma petite vidéo 

 

 

Jean-Baptiste Mondinoを起用したアートワークなら、内容はヒットが約束されたものになる。A面でニューウェーブに挑んだFeldmanは、B面でディスコファンクに挑み、ヒットさせた。

 

Elegance - Vacances j’oublie tout

 

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シャープなシルエット、サラリーマンカルチャー、広告の台頭、オーダーメイド…。ファンクポップのゴッドファーザーによるまさに1980年代な1曲。

 

Interview - Salut les salauds

 

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英語を取り混ぜたフランス語歌詞でシーンに颯爽と登場としたアーティストによる1枚。

 

Le Club - Un faits divers et rien de plus

 

 

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フレンチブギー最大のヒットのひとつ。Jean-Baptiste Mondinoを起用したオリジナルスリーブよりも、Kanye West的な尊大さが垣間見える下のベルギー盤の方が秀逸なデザインだ。

 

Plaisir - Fou de toi 

 

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魚眼レンズに白いRepettoの靴。Micky Milan、Didier Makaga、François Feldmanと共にフレンチブギーを代表するアーティストのひとり、Guy AccardoのソロプロジェクトPlaisirに飽きることはない。

 

New Paradise - Easy Life

 

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不機嫌な表情、着ているジャケット。フランス人はすべてをアメリカ製にしようとした。蝋人形のようなモデルさえも。

 

Bibi Flash - Histoire d’1 soir

 

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タンクトップ、タイトルに「1」を盛り込んだラップ感、括弧で囲んだサブタイトル、扇風機を使ってなびかせた髪。「Chargin d’Amour」をヒットさせた女性アーティストBibiのディスコラップに見事に合わせた最高のアートワークだ。

 

Kevin Morane - Break Dance 

 

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2人のブレイクダンサーが場違いなのか、このベルギー人シンガー、Vincent Ghobert(本名)が場違いなのか…。いずれにせよ、A面よりB面の方が良い内容だ。

 

Kid Tajine - Facile! 

 

 

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アーティスト名の「Tajine」は「Tagine」(タジーン:モロッコ料理)のスペルをわざと間違えたものだが、それ以外にこのレコードに関する有用な情報は一切ない。Rogerという名前と、アルジェリア人が曲の中で侮辱されていないことを祈るばかりだ。

 

Style - Playboy en détresse

 

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Guy Accardoによる別名義。タイトルは「岩場のプレイボーイ」という意味。1983年夏、キャンプ地のディスコではさぞかし盛り上がっただろう。

 

Pino D’Angio - Mais quelle idéa 

 

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イタリア人アーティストPino D’Angioのヒット曲「Ma Quale Idea」のフランス語版なのでこのイメージ。1980年代の南欧の文化水準が伺い知れるアートワークだ。

 

Sheila - Chanteur de funky

 

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本人同様消えゆく運命にあったポップスターAnnie Cordyの醜悪な「Et je smurfe」の正反対に位置していたSheilaは、やや頑張りすぎている感もあるが、実はそこまで悪くもない。

 

Le Président Shû-Shan - Boum! Un coup d’matraque (1985) 

 

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突如として現れたこのエレクトロファンクは驚くほどちゃんと聴ける内容だが、このアートワークは数世紀先も我々を困らせ続けるだろう。

 

Michel Fugain - Où tu voudras quand tu voudras 

 

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この曲の内容については何を言っても構わないが、このアートワークには他とは比較できないパワーが秘められている。

 

Regrets - Tout le monde s’amuse

 

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シンガーAgatheが率いるこのグループは、ラジオポップヒットのために美術学校の夏季講習レベルのアートワークを起用した。

 

Thierry Le Luron - Le smurf politic

 

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カマンベールよりもフランス的。お笑い芸人をラップに起用した無数の作品の中のひとつ。

 

Eric Elliott - Chérie noire

 

 

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アラン・コルノー監督の犯罪映画の『セリ・ノワール(Série Noire)』にかけたタイトルのため、それに合わせたベタな犯罪小説のイメージと犯行現場を組み合わせたアートワークが展開されている。François Feldman関連の1曲。

 

Hip Videop - Sentir les frissons

 

 

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1984年、「Smurf」という単語は、白い手袋を身に付けて擬音語だけを発する人たちを指していた。しかし、このジャケットでむしろ気になるのはMichel Gondryというクレジットだ。

 

Serge Delisle - Germaine


 

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特に言うことはないが、フレンチブギーのアートワークを1枚だけ残せるとしたら、これになるだろう。