八月 10

Sapphire Slows:Lost In Barcelona

RBMA卒業生のSapphire SlowsがSónar Music Festival 2016の思い出を振り返る。

By Sapphire Slows

 

皆様こんにちは。去年パリで開催されたRed Bull Music Academy 2015の卒業生で、東京在住で活動しているDJ/ProducerのSapphire Slowsです。今回、2016年の6月16日~17日にスペインはバルセロナにて開催されたSónar Music Festivalへと参加してきました。言わずと知れていますがSónarは1994年から続いている国際音楽フェスティバルであり、毎年このフェスティバルのために多くの人々がヨーロッパ有数の観光地でもあるスペインのバロセロナへと集います。近年は同じバルセロナで6月の上旬にPrimavera Soundというフェスティバルが開催されていますが、Primavera Soundがどちらかとバンド出演者の多いインディー・ロック系のフェスティバルであるのと比べてSónarはDJやエレクトロニック系ミュージシャンなどダンス色の強いラインナップとなっています。近い時期に開催されることから一ヶ月近くにわたりバルセロナに滞在しこの二つのフェスティバルを両方楽しむ人々もいるようです。

 

SónarにはSónar by DayとSónar by Nightという昼の部と夜の部があり、私が参加したのは17日金曜日のSónar by DayのRBMAプレゼンツによるSónar Domeと呼ばれるステージです。Sónar DomeはSónar by Dayの中でも2番目に大きいステージであり、キャパシティは2000人程だと聞いています。私は今まで国内外いくつかのフェスティバルでライブを披露する機会がありましたが、Sónarはその中でも最大規模のものでした。そのようなステージでのプレイを控えて、私は出演が決まった数ヶ月前から緊張していました。

 

日本では出発の数週間前からセットを考えはじめ、荷造りはそれまでiPhoneのメモに書き出していた荷造りリストに沿ってほぼ丸一日で済ませました。ドラムマシン、シンセサイザー、Midiコントローラーやエフェクターを全て機内持ち込み可能サイズの強靭なプロテクト・スーツケースに詰め込みます。隙間にはウレタンフォーム。その他の荷物は預け入れ用の大きなスーツケースに詰めましたが半分は空いたままでした。ですが帰りのことを考えるとちょうどよかったかなと思います。新しく入手した機材や購入したレコード、Sónarでいただいたマーチャンダイズ、お土産も多かったので。機材に関してはMackieのアナログ・ミキサーとマイク、ケーブル類だけはSónar側に用意してもらいました。ベーシックなアイテムであるため間違いがなく用意しやすいだろうというのと、ミキサーなどの重い機材はなるべく持参したくなかったからです。出演者の多いフェスティバルとなると、テックライダーで事前に依頼しておいた機材の型番が微妙に異なる、とか、見た目は似ているけれど実は機能が全く異なるシンセサイザーが用意されている…などのハプニングもしばしばあるようです。そのあたりも想定して、代替案を用意するなど柔軟な対応が必要になるときもあります。ですが、今回のSónarでは幸いセットアップやサウンドチェックでのトラブルはありませんでした。本番がはじまるまでは…。

 

(スーツケース2個持ち!)

 

バルセロナに到着したのは出演日の2日前、15日の水曜日でした。もろもろのチェックインや時差ボケ解消のため少し早めに到着したかったのと、Sónar前夜祭的な感じでRed Bull Music Academy主催のBBQパーティーがその日の夜にあったのでそれに参加したかったというのもあります。このBBQパーティーはバルセロナにある古いお城を貸し切って開催されたもので、お城の中庭でDJがプレイする中BBQやお酒が振る舞われます。これには出演者やプレスなど関係者のみが招待を受けて参加でき、そこで私たちは同じパリでのアカデミーに参加した卒業生や、RBMAチームとの再会を果たした他、Sónarで初めて出会う人々とも交流をすることができました。ただ、会場が広く人数も多かったので会いたかった人と全員会えたわけではありません。私は到着当日でまだ時差ボケと戦っており、フラフラであまり積極的に交流できる状態ではなかったので、あまりお酒も飲まず卒業生とゆっくり過ごしてホテルに帰りました。お城からホテルへはシャトルバスが用意されているはずだったのですが、本数が少ないのと何かの手違いから私と数人の卒業生(Kasper, Homesick, Astrolish, Silkersoft)はホテルまで徒歩40分かけて帰る羽目になってしまいました…。私は最高潮に疲弊していたのでその状況に対して半分キレ気味でしたが、皆で文句を言いながらもワイワイとくだらない話(アメリカや日本の恋愛リアリティ番組「テラ◯ハウス」の話とか)をしながら楽しく帰れたので良い思い出のひとつとなりました。

 

(お城でのRBMA BBQの様子)

 

水曜日と木曜日の日中は時間があったのでバルセロナの市内観光をすることにしました。今までの経験から、時差ボケを治すには昼寝をするより歩き回って夜疲れてぐっすり眠る方が良いと思ったからです。実際これは上手くいって、時差ボケを完全に解消するまでに1週間近くかかってしまったパリと比べてバルセロナでは比較的楽に過ごすことができました。時差ボケって睡眠障害や倦怠感はもちろん、吐き気とか食欲不振とかもひどいと本当に辛いものです。バルセロナの最初の2日間はとても天気も良く、ぼんやりとした頭を吹き飛ばしてくれるような気候でした。しかも日没が21時半と遅いので、1日をゆっくりとスタートしても時間がたくさんあります。初日はバルセロナに11年住んでいるというブッキング・エージェンシーの知り合いに会って軽く中心部の案内をしてもらいました。カサ・バトロやカサ・ミラなどのガウディ建築、ゴシック地区、ガウディがよく訪れたというサン・フィリッポ・ネリのプラザ(広場)を訪れました。バルセロナにはプラザがたくさんあり、人々が団欒したり、子どもたちが遊んだりしています。サン・フィリッポ・ネリの建物の壁にはスペイン内戦(1936-1939)の際にできた銃痕が生々しく残っており、美しいゴシック建築と木漏れ日の中で対照的な悲しい歴史を感じました。ガウディの建築に関しては幼い頃から美術や建築が好きな両親の刷り込みもあって大きな憧れがあり、いつか訪れるのが夢だったため本当に感動の連続でした。グエル公園やサグラダ・フェミリアにも一人で行ってみたのですが、あんなに美しく完成度の高い、芸術的で、同時に色彩や光の取り込み方などにまるで自然のような有機的な暖かみのある建築群を見たのは初めてです。バルセロナの人々はグエル公園で普通にジョギングしたりしていて、あれほどの芸術と共に普通の日常を送るのが一体どういう感じなのか、不思議にも羨ましくも思いました。最初の2日間はこういった場所を観光客の少ない時間帯を狙って巡り、ひとりでの精神的な静けさを楽しむことができました。素晴らしい時間でした。ツアーなどではどうしても夜中心の生活になり日中にひとりで静かに好きな場所を巡るということはなかなかできないのですが、バルセロナは街自体がコンパクトで地下鉄も使いやすいため、行動するのがとても楽でした。料理も美味しいし安いし、どうやら家の賃料も安いみたいで、スペイン語が話せたらここに住めるな、住みたいなと具体的に想像できるほどでした。

 

(サン・フィリッポ・ネリ)

 

(カサ・バトロ)

 

(グエル公園)

 

(サグラダ・ファミリアの塔の上からの景色)

 

さて、観光のあと夕方にはSónar by Dayへ。Sónar Domeでのパリ卒業生たちのパフォーマンスの応援に行きました。着いた頃にはコペンハーゲンのDJ、Kasper Marottがプレイ。彼はレコードオンリーのDJで趣味が重なるところもあるため卒業生の中でもよく話すほうです。日本でもおなじみのLust For YouthやPosh Isolation周辺のシーンの話などもします。彼らはコペンハーゲンのシーンの中でもやはり、音楽だけでなく一貫としたスタイルが確立されている存在として尊敬されているようです。Kasperのセットは60分で、DJとしては短いのでウォームアップしてきた頃には終わっちゃいそう、と不安がっていましたが、彼らしい渋くて90年代感のあるテクノセットがプレイできていたと思います。その次はSevdaliza。彼女はオランダ、ロッテルダム出身のシンガーでよくFKA TwigsやKelelaと比較されますが、Sevdaには彼女独特の、人々を萎縮させてしまうほどの強さと同時に優しさがあります。実際に彼女はとても人の感情や弱さにとても敏感で、とてもスウィートな心の持ち主で大好きです。パリでのアカデミー中は幾度となくハグし合い、時に抽象的でナイーブな話もしました。いつも優しく話しかけてくれる彼女のパフォーマンスは、時に鳥肌が立つほど圧倒的で、毒々しさ、攻撃性、優しさ、弱さ、雄々しさとセクシーさなど、異なるフィーリングが波のように訪れます。SevdaのあとにはKelelaを見たのですが、個人的にはSevdaのステージのほうがずっと好きでした。Kelelaのほうが洗練されているのですが、私は未完成でも感情や肉体が荒々しく揺さぶられる音楽のほうがリアルに感じます。この日は他にも大好きなBlack MadonnaのDJで踊ったりと楽しく過ごして、夜はまだSónar by Nightも開催されていなかったので翌日のパフォーマンスに備えて早めに休みました。

 

(Sevdaliza)

 

(屋外ステージSónar VillageでのBlack Madonna)

 

(もうひとつの屋内ステージSónar ClubでのKelela)

 

翌日17日はセットアップ、サウンドチェックのために朝10時に会場入り。ちょうどUnderground Resistanceがサウンドチェックをしていました。URのMad Mikeはパリでの講師のひとりで、独特のキャラクターとざっくりした発言は生徒たちに人気が高かったです。しばらく時間を潰してから私のサウンドチェックの番になりました。巨大なドーム状の会場であるため反響が大きく、ミックスや簡易なEQだけで音をコントロールするのは難しい印象です。とはいえ専属の音響さんがいるわけでもなく、音は全て手元のミキサーに集約しているので、いつも通りに鳴らして自分の勘を頼りに多少の調整をするくらいしかできません。そのあたりの一番良い方法は自分でもまだ手探り中ですが、前に日本でインガ・コープランドと話をしていたときに、彼女が「よくミックスダウンされたポップソングなどをかけるとその会場の音の偏り方やバランスがよくわかる」と言っていたのを思い出してそういうやり方もありだったかなと思いまし

 

(Sónar DomeにてUnderground Resistance サウンドチェック中)

 

サウンドチェック後はお昼ご飯を食べに行ってから会場に戻りました。最初は前日と比べて人が少ない印象だったけれど、いざ自分がステージにあがるとなんと会場が満員になっていて驚きました。フェスだと他のステージで誰とかぶっているか、なんていう運もあるけれど、たまたまヘッドライナーとのかぶりもなく良い時間だったのかもしれません。ですが、演奏をはじめて1曲目で機材の不調に気がつきました。詳細は割愛しますが、重要な機材のうちのひとつが正常に動かなくなってしまっていたのです。それから一度音を止めて設定を見直したりプログラムを立ち上げ直したり、思いつくあらゆることをしましたが直りません。2000人の観客を前に5分~10分も音が止まってしまい、パニックになって何度も思考停止しそうになりました。トラブルが起こっていた時間はまるで永遠に続く悪夢のようでしたが、観客の皆は誰もステージを離れていかずに辛抱強く待っていてくれました。私が追い詰められている間も拍手や温かい言葉を投げてくれていたので、私は絶対にステージを降りられませんでした。そこで諦めずにケーブルを変え、設定をリセットしたりするうちに機材は復活し、同期も戻りました。サウンドチェック時には全く問題がなかったため、原因がなんだったのか今もよくわかりません。もしかしたらすごく小さなことだったかもしれませんが、パニックのあまり素早く解決することができませんでした。ですが、音が再開したときには皆が歓声をあげて踊り始めてくれて、私は最後までパフォーマンスをやり遂げることができました。音は止まるわ、そのパニックで喉がカラカラに乾いて声が出ないわ、と完璧なパフォーマンスだったとは言えませんが、観客の皆のおかげで精神的にも持ち直してやり遂げられたことにはとても満足しました。ステージから降りた途端抜け殻になって、脳がハイになっていたため、泣きそうなのに涙も出ませんでした。

 

ぼーっとしているうちに次のHIELEが始まりました。彼もパリの卒業生で、アントワープで自身のカセットレーベルも運営しながら活動しているとても才能のあるミュージシャンです。彼はなんというか天才型で、なんとなく人とズレていますがものすごく音のことをよく分かっています。そして機材オタクでもあります。でも人を寄せ付けない感じではなくてナイスなガイです。いつも頭がボサボサでヨレヨレのTシャツを着ていて、今回は毎日「HISAISHI」と書かれた自作のTシャツを着ていました。彼のソリッドでドープで変態的な音の宇宙をききながら段々私の頭も平常運転に戻りました。だいたい、いつもパフォーマンス後30分から1時間くらいはハイになっていて何も頭に入らないのですが、彼の音楽はちゃんと頭に入ってきました。それからバックステージから出て、安心してお酒も飲むことができました! それから見たUnderground Resistanceは最高で、Sónar Domeも超満員で汗だくになって踊りました。URはデトロイト・テクノ界のジャズと呼ばれているくらい、クラシックな機材を使いつつもうねりとグルーブがすごい。彼らを見ていると、機材の性能によるリミットなんかは関係なく、それを武器に音楽を作り続けていけることがわかります。

 

そのあとはすこし落ち着くために、Sónar Complexというコンサート・ホール型の会場へ行ってDawn of Midiを見ました。ホールは真っ暗で、シンプルなライティングとストロボで演出されています。Dawn of Midiはアメリカの友達に勧められて知ったアーティストで、ピアノ、コントラバス、ドラムのトリオでミニマルなエレクトロニック・ミュージックを演奏しているようなバンドです。生演奏でストイックに繰り返して突き詰めていく、ライブならではの迫力があってとても良かったです。

 

そのあとはSónar by Nightがあったのだけれど、メキシコでプロモーターをしている友達に勧められて、Casa Boneyというホテルのバーで開催されていたComemeのイベントへ行きました。到着したときにちょうどDJをしていたのはケルンのDJ、Lena Willikensで、言葉では説明しづらいけれど特定のジャンルに括らず面白いレコードをたくさんかけていてとても素晴らしいDJでした。そのあとは例のメキシコの友達が引き合わせてくれた、このイベントのオーガナイザーでありComemeで働いているAvrilと色々な話をしました。彼女は初めて会ったけれど、とても優しい素敵な女性で、Sónarで見た私のステージが素晴らしかったと言ってくれました。こうやってSónarだけでなく個人的な繋がりや友達の紹介で人々に会えたことも今回の旅で良かったと思えたことです。

 

(Casa BoneyでのComemeのDJバーナイト)

 

こうしてあっという間にSónar最終日の18日になりました。この日はOPNやNew Order、Laurant Garnierなど、見たいし見ておいたほうがいいかな? と思うラインナップがいくつもあったのですが、実は私はSónarには行きませんでした。彼らのようなレジェンドは見たいと思うけれど、他に大切なことがあるならきっとまた見られる機会があると思ったのです。実際彼らも日本に来ているしね。私は最初の数日間でバルセロナの美しさが大好きになっていて、自分のパフォーマンスも終えた今、どうもフェスで飲んで騒ぐような気分になれず、最後は好きなところに行って好きなものを食べて友達とゆっくり過ごそう、という気分でした。本当はバルセロナ市街から少し外れのビーチに行きたかったのだけれど、昼過ぎからの天気予報は嵐に雷雨。ということで行き先を変えて、もうひとつ絶対に行きたかったところ、モンセラットという山に行くことにしました。山で嵐というのもどうかと思ったけれど、ビーチに比べるとまた違った楽しみ方もあるかと思ったのです。

 

(登山列車の車窓から。なぜここにプール?)

 

この日、バルセロナではストライキの影響で電車の本数が普段の半分くらいまで少なくなっていたため、モンセラットにスムーズに行くためにはかなり電車を待たなければなりませんでした。なので、朝は駅のそばのカフェでゆっくりコーヒーを飲んでから出発。1時間半くらい電車に乗ったあと、登山鉄道に乗り換えてモンセラットに到着したのはもう午後の1時頃でした。私は昨日飲み過ぎた二日酔いが高度が上がるにつれてひどくなり、山に着いたときはフラフラで吐きそうになっていました… が、山の上にあるデリスタイルの食堂で昼食を食べ、水をたくさん飲みとりあえず軽快。まだ雨はきていません。まずは有名な「黒い聖母(Black Madonna)」がある聖堂へ向かいます。この聖堂が外から見たときはあまりなんとも思わなかったのですが、中が素晴らしく美しい! さすがヨーロッパ有数の聖地ということだけあって、ものすごく荘厳で圧倒されるような雰囲気。ディテールもすごい。キリスト教ではない私ですら宗教的で神聖な気分が高まってしまうほどでした。なんだか人々が教会へ祈りに、そして救いや赦しを求めに集まってくる理由がわかるような気がしました。聖堂内は写真撮影禁止だったので写真はありませんが、もしモンセラットを訪れるなら絶対に外さないで欲しいスポットです。

 

それから更に急斜面の坂を登る列車に乗って山の頂上付近を目指します。そこから登り始めたところで少しずつ雨が。フードと折りたたみ傘でしのぎつつ、脇道にそれて植物をかき分けながら進み、岩の上の絶景スポットへ。景色はもう圧巻でした。今まで訪れた自然スポットの中でもベストにはいる、息を飲むような体験をしました。360度見渡せるような場所で、雲と同じ高さに立っているのです。心配していた嵐ですがその頃にはもう雨も止んでいて、遠くに分厚い雲と時折稲妻(!)が落ちるのが見えました。嵐がどんどん移動していくのが見えて、バルセロナ市街のほうを雷雨が襲っているのがわかりました。私は悠々と眺めているだけです。帰ったあとに市街にいた人たちにきいたところひどい嵐だったとか。どうやら山に来て嵐を眺めるというプランで大成功だったようです! 一方、嵐の反対側では空が澄み渡っていて、とても不思議な景色でした。しばらく岩の上に座ってただぼーっとしていました。映画の撮影場所みたい。というか、時代も違うファンタジーの映画の中にいるような、ずっとそんな非現実的な気分でした。

 

(モンセラット頂上! Photo by Tom Krumins)

 

 

(こちらも頂上にて Photo by Tom Krumins)

 

遅くなってきたので山頂駅のほうに戻り、ビールで乾杯。それから行きの登山鉄道とは違うケーブルカーにのって山の麓まで降ります。そこから電車に乗るのですが、それもまた1時間待ち。どうしようと思っていたらなんと電車のホーム内に屋外バーが。なんだかさびれた感じなのですがそれもまた時間を忘れさせるようでいいのです。そこでサングリアを飲みながら待っていたらあっという間に電車が来ました。それからバルセロナ市街に戻り、バルセロナでできた友達とともにパエリアのレストランへ! 彼女はバルセロナに8年ほど住んでいる日本人で、グルメなスポットやバーをたくさん知っているので連れて行ってもらいました。パエリアのレストランでは貝を山ほど食べ、パエリアを食べ、パエリアのような鉄板で作る焼きそば(?)のようなものも食べ、どれも美味しく大満足でした。そのあとは薄暗いボヘミア調のカクテルバーへ。ラムとオレンジ、というあまり一般的ではなさそうな注文をしてカクテルを作ってもらったのですが美味しかったです。

 

(バルセロナのレストランで貝食べまくり)

 

そのあとは友達に誘われるままよく知らないパーティーに行ったのですが、普段行くようなクラブと雰囲気の違う感じで、あまり好きではないけれど人間観察をしつつその違和感を楽しんでいました。出演者はSimian Mobile DiscoやAvalon Emersonなど知っているアーティストもいたのですが、他のDJは酔っ払い学生向けのチャラいDJっていう感じで全然良くない…。途中からはブース裏に避難させてもらって飲みながらゆったり過ごしていました。知り合いがほとんどいない中、唯一音楽オタクっぽい感じに見えた、ナンパしなさそうなDJらしきお兄さんが隣にいたので、「これってどういうイベントなの?」とか「誰がプレイしているの?」とか立ち話をしていました。また、私がSónarでプレイした話をして名前を教えると、「あとでチェックするね!」と言ってくれました。せっかくなのでこの親切なお兄さんのDJをちょっと見たら帰ろうかな、と思い待っていたのですが、DJがはじまるとどうも彼らがメインぽい…。プロモーターに聞いてみるとそのオタクっぽいお兄さんはSimian Mobile DiscoのJasだったということが分かりました。風貌からきっとドイツかどこかのテクノDJだと勝手に思っていましたので少し面食らいましたがそういうこともあるのが旅先です。失礼だったと思われていませんように…。ただこうやって先入観なく知り合ったアーティストの人柄が良いとなんだか嬉しくなります。Simian Mobile Discoを聴いていたのは「Attack Decay Sustain Release」や「Temporary Pleasure」などまだギリギリ10代の頃でしたがその頃に自分にはまさか彼とバルセロナのクラブで立ち話をするなんて想像できなかったでしょう。ということでこれも良い思い出のひとつとなりました。バルセロナ編はここまでで終わり。そのあとはオフでロンドンに少し遊びに行って、日本に帰りました。

 

ということで、なんだかSónarのレポートというよりはバルセロナの旅日記のようになってしまいましたね。でもせっかく書かせてもらうので何か表面的なレポートというよりは、楽しかったことも失敗も含めて個人的で正直な日記のほうが面白いかなと思って。どうでしたでしょうか? 今回の旅は今までのツアーの中でもかなりリラックスして過ごせたほうかも。予定を詰め込みすぎず、現地でやりたいと思ったこと、会えたら会いたかった人たち、などの時間を優先できたのは良かったです。私はあまりに音楽ビジネスなミーティングやパーティーばかりだと疲れてしまうし、気の赴くままに街歩きや観光をするのが好きです。あとは現地に住んでいる人たちに会えるのが一番いいな。長く住んでいる人に少しバルセロナのことを教えてもらっただけで、 Googleやトリップ・アドバイザーで検索してばかりの旅とは違うアイデアが得られるから。何はともあれ、このレポートが、ツアー先での過ごし方や、いつかRed Bull Music Academyに応募したい! と思っている人たちの何らかの参考になればいいなと思っています。パリでのアカデミーに引き続き、このような素晴らしいフェスティバルと旅の機会を与えてくれたRed Bullに感謝します。私のこれからの活動にもご期待ください! ではでは。