四月 19

USレコードショップ探訪:ロサンゼルス

米国西海岸を彩るレコードショップの数々をフォトエッセイ形式で紹介する

By Maxwell Schiano

 

イーストリバーから太平洋まで、米国内にはレコードショップが点在しており、有名店から謎めいた店まで豊富なバラエティを誇っている。今回は、カリフォルニア州ロサンゼルスのレコードショップを紹介する。

 

 

 

Record Jungle

 

2010年に創業したRecord Jungleは、ロサンゼルス大都市圏内のベストディガースポットのひとつとして高く評価されている。中古盤を扱っているこのショップの常にフレッシュに保たれているレコードボックスを掘る指先には大量の埃がつくが、ここに眠るお宝のクオリティの高さはその量に比例している。

 

アンダーグラウンドヒップホップビートメイカーとして活躍していたオーナーのAndy Perezは、DJやプロデューサーが求めるファンキーミュージックをパーフェクトに理解しているため、Record Jungleには、ソウル、ブレイクス、ビートバラード、ラテンカバー、ジャズ、メキシカンサイケなどの隠れた名盤が常時入荷されている。

 

モンテベロに位置するRecord Jungleは、ロサンゼルス市内の他のレコードショップとは距離が離れているが、ロサンゼルスのワックスアディクトコミュニティを代表するCut Chemist、J-Rocc、Alchemistなどはもちろん、Floating Points、Large Professor、DJ Spinnaなど、国外に住むワックスアディクトたちもこのショップを定期的に訪れている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Wombleton Records

 

2017年2月に閉店したWombleton Recordsはロサンゼルスの人気エリア、ハイランドパークのYork Boulevardの中ほどに位置していた。

 

Wombleton Recordsは、住所的にはロサンゼルスのレコードショップだが、実態は、異国へワープする "時空の門" とでも言うべき空間だった。Wombleton Recordsはヴィクトリア朝の壁紙に覆われた英国風レコードショップで、木製家具と飾り付きのガラスランプが置かれ、観葉植物が吊り下げられていた店内は、別次元からやってきたティールームのような雰囲気を醸し出していた。レコードボックスもUK産で埋め尽くされており、The Fall、The Dentists、Blue Orchids、Cleaners from Venusなどのアルバムが置かれていた。また、Wombleton RecordsはUK以外の輸入盤も扱っており、フレンチポップやジャマイカンダブ、ニュージーランドのレーベルFlying Nunのレアタイトル、そして厳選されたガレージロックやグラムロックのレア盤も見つけることができた。

 

定期的にヨーロッパへ買付に行っていたため、Wombleton Recordsのレコードボックスは常にお宝で溢れていた。埃まみれのエサ箱からThe Smiths『The Queen Is Dead』を引き抜けば、スタッフが他のアーティストの貴重なファーストプレスを丁寧に40枚ほどカウンターの上に並べてくれたため、自分の求めていた1枚に出会うことができた。

 

 

 

 

 

 

 

 

Record Surplus

 

Record Surplusはロサンゼルスのウエストサイドに住むレコードコレクターのための数少ないサンクチュアリのひとつだ。創業から26年後の2011年に現在地に移転したこのレコードショップの鮮やかな赤と白の外装は、歴史あるSanta Monica Boulevardの道標として機能している。店内には、丁寧にキュレーションされたロサンゼルス随一のバラエティを誇るヴァイナルが並べられており、大量のロックとジャズセクションの他に、相当数のクラシックとブルースのヴァイナルもある。

 

カウンターの裏には、豊富な知識を備えたスタッフと、Fat Albert Einstein(本名:Christopher Vagnoni)、House Shoes(本名:Michael Buchanan)、Koreatown Oddity(本名:Dominique Purdy)など、ロサンゼルスで活躍するミュージシャンたちが控えており、全員がロサンゼルスのヒップホップとインディーに精通している。尚、オーナーのNeil Canterは、インストゥルメンタルロックとColombia時代のThelonious Monkのファンだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Dark Realm

 

Rick CortezとBay Cortezの兄弟は、1994年からドゥーム、スラッシュ、ファーストウェーブ、ブラックメタルなどのヘヴィサウンドをロサンゼルスに紹介してきた。Taco Bell 1号店と現存する中で最古のMcDonald’sがあることで知られている都市ダウニーの目立たない通りにコインランドリーと並んでひっそりと建っているこのレコードショップには、最新のCDやCDR、Tシャツ、ヴァイナルなどが、1970年代のヘッドショップ(Head Shop:非合法ドラッグを扱う店)を思わせるクールなブラックライトの下に並べられているが、このインテリアは、Cortez兄弟がヘッドショップでJudas PriestやBlack Sabbathを初めて知ったことに起因している。

 

Cortez兄弟は、ブラックメタルバンドSadistic Intentを結成した1986年から自分たちのレコードショップを持つというアイディアを持っていたため、ツアーを通じて世界各地にコネクションを築いていった。そのコネクションが今も保たれているため、Dark Realmには今も限定盤が定期的に入荷されており、Cannibal CorpseやWatainなどのインストアイベントも開催されている(Dark Realmは世界的に有名なノルウェーのブラックメタルショップHelveteと比較されることも多い)。また、Dark Realmは2人が運営するレーベルDark Realm Recordsの事務所も兼ねており、このレーベルからはDark Angel、Pentacle、Witchmasterなどがリリースしている。

 

 

 

 

 

 

 

 

Ameoba Music

 

カリフォルニア州内の小規模チェーンAmeoba Musicはベイエリアがルーツで、1990年に1号店がバークレーにオープンし、1997年に2号店がサンフランシスコにオープンした。その後、2001年後半に3号店がハリウッドのど真ん中にオープンし、その立地の良さからAmeoba Musicチェーンの中で最も広く知られる店舗となったが、この3号店は世界一有名なレコードショップのひとつでもある。

 

なぜか。理由は店舗面積の広さとクオリティの高さにある。敷地面積3,995㎡(≒ 63m x 63m)を誇るこの店舗は、他のレコードショップとは比べられないほど広いが、エレクトロニック・ミュージックからジャズ、そしてエクスペリメンタルまでの全セクションが専門知識をベースに集められているため、品揃えも非常に魅力的だ。毎週顔を出しても飽きることはなく、ほんの小さなひとつのセクションだけをチェックしたとしても、大量のヴァイナルを手に入れられるため、多くの常連客がついている。また、通路を何時間もただうろついて適当にチェックするだけでも、世界中に存在する音楽の幅広さに感嘆することになる。このレコードショップの規模はひと言では伝えきれないほど広く深い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

All images (except all images of Ameoba Music):© Maxwell Schiano

All images of Ameoba Music:© Frosty