一月 17

Dâm-Funk x Omar S

LAファンクアーティストとデトロイトDJのスペシャル対談

By Dâm-Funk

 

RBMA Radioで毎月放送されている番組『Dâm-Funk presents Glydezone』では、ホストのDâm-Funkが友人や仲間を招き、人生、音楽、そして音楽生活などの会話を重ねている。今回は、デトロイトテクノ&ハウスのプロデューサー、Omar Sを招いた回から2人の対談を抜粋して紹介する。

 

『Dâm-Funk presents Glydezone』はこちら

 

Dâm-Funk:今日のスペシャルゲストは、才能溢れるアーティストで俺の親友のひとりを招いた。LAとデトロイトでお互いの家を行き来する仲なんだ。紹介しよう、Omar Sだ。

 

Omar S:ちょっと待ってくれ。ちょうど今、ソールズベリー・ステーキ(編注:ハンバーグ・ステーキ)を食べているところなんだ。

 

D:OK。

 

O:調子はどう? 順調かい?

 

D:ああ、順調だね。君と話したいと思っていたところだったんだ。この前会ってからしばらく経ってるし、君と会うのはいつも楽しいしね。ニュートラックは作ってる?

 

O:いつもとちょっと違うタイプのトラックがあるんだ。2007年にレコーディングしたカントリーとディスコみたいなトラックさ。今はまだシークレットだが、聴いてもらったら、カントリーだってことを分かってもらえるはずさ。マレーシアというか、アジアンというか、韓国というか、そういう感じもあるな。でも、具体的な内容についてはあとで個人的に教えるよ。

 

 

D:OK。ファンに別のタイミングでちゃんと聴いてもらおうっていうのは、良いアイディアだと思う。このアイディアについてある人と話をしたことがあるんだけど、ファンにすべてをすぐに明かさずに、ある程度秘密にしておく必要がある時もあるよね。それも音楽の魅力のひとつだと思うし、君の作品の場合は特にそうだと思う。自力でドープなトラックを探せば、そのトラックに出会った時にブロックで殴られたような衝撃を得られるしさ。実際、俺が君のトラックに出会った時もまさにそんな感じだったんだ。

 

O:ありがとう。感謝するよ。俺は誰もが楽しんでもらえるようなものを作ろうとしている。でも、本当に偶然の産物なんだ。たまたまそういうトラックになるだけなのさ。分かるだろ? 食べながら話してて悪いね。

 

D:まったく問題ないよ。これはインタビューじゃなくて、ただの会話なんだからさ。

 

O:食べながら車を運転してるんだ。膝でハンドルを操作しながら、片手でマッシュポテトを食べてて、もう片方の手で電話を持っているのさ。とにかく、俺は「今度は違ったサウンドを生み出すぞ」なんて考えてるわけじゃない。世間は理解してくれないが、俺はいつも新しい音楽を生み出そうとしているだけなんだ。四六時中、音楽を作ってる。ひたすらさ。音楽を作った直後にリリースしようとする人もいるよな。昨日作ったトラックを今日リリースするような人がさ。でも俺は違う。俺はひたすら音楽を作っているだけなんだ。

 

 

 

“アートワークはいつも低予算なんだ。低予算な作品が好きなのさ”

Omar S

 

 

 

D:音楽は君の血ってことだね。

 

O:音楽が勝手に生まれてくるんだ。人によってモチベーションは違う。シカゴの連中の何人かに話を聞いたんだが、ポップシーンのある男なんかは、ポルノを見てインスピレーションを得ている。他にはマリファナを吸ってインスピレーションを得ている奴もいるし、金にインスピレーションを得ている奴だっている。俺の場合は自分をプレッシャーに晒していたいんだ。そういう状態が好きなんだよ。俺がこの前アルバムをリリースしたのも、ある意味プレッシャーがきっかけだった。誰かに気に食わないことを言われたんだ。だからそれを力に変えてアルバムを制作したのさ。

 

D:それこそリアルな音楽さ。俺が共感できる音楽だよ。君は今でも自分のハートから生まれる音楽を作ってるし、現実世界で起きていることからインスピレーションを得ているよね。そういう音楽からは真実が聴こえてくるのさ。「こういうサウンドを作るぞ」っていう方法で作られるんじゃない。モチベーションから生まれるんだ。俺には君がやろうとしていることが理解できるし、もちろん、君も俺が共感できるってことを分かっていると思う。

 

O:要するにさ、俺は人に “示す” ことができるんだ。ある状況に人を放り込むことができるのさ。

 

D:音楽だけでってことだよね。音楽と才能だけで人をどこかへ連れ出せる。

 

O:そう、音楽だけさ。だが、俺の音楽は気分を落ち込ませるようなものじゃないぜ。俺はそういうタイプの人間じゃない。

 

D:分かるよ。前回のアルバムについて少し話してもらえるかな? アートワークは最高だったね。素晴らしかった。

 

O:アートワークはいつも低予算なんだ。低予算な作品が好きなのさ。俺のファミリーはそういう考えなんだ。低予算ってのは面白いぜ。低予算には笑える部分があるって思っているんだ。

 

 

D:低予算のアートワークには見えなかったけどね。でも、君の言いたいことは理解できる。とにかく、俺はあのアートワークを気に入ったよ。ファンは俺たちがどのアルバムについて話をしているか分かっていると思うけど、念のため、タイトルを教えてもらって良いかな?

 

O:『The Best』ってタイトルだ。ストレートなトラックが詰まってる。グッドアルバムだと思うね。実は入れたかったトラックがひとつこぼれたんだけどさ。よくある話なんだが、そのトラックを探し回っても見つけられなかった。それで、別のトラックを入れたのさ。だから、ちょっと後悔しているが、誰が聴いても気に入ってくれるアルバムになったと思うね。

 

D:もちろん。俺も自分のDJセットに組み入れているし、プレイすると好反応だ。俺はブギーやファンクのDJプレイで知られているけど、いつもテクノやハウスも組み込んでいるんだ。俺たちを小さな枠で括るべきじゃないと思うね。俺たちの好きなようにやらせて欲しい。そう思わないかい?

 

O:その通りだよ。俺にもポップアーティスト用のトラックがあるぜ。まずリリースしないと思うが、色んなタイプの楽曲が大量に用意してあるんだ。上手く説明できないが、とにかく大量ってことは確かだ。トラックが山ほどあるんだ。リミックスばかりの連中とは違うのさ。リミックスは過去に何回かやったことがあるが、まったく誇りに思ってない。やりたい奴は勝手にやってくれて構わないぜ。ただ、俺にとってはクソだったね。音楽はクソだった。金が欲しんだろ? ほらよ! って感じさ。

 

D:君は他のアーティストのリミックスよりもオリジナルの制作の方に興味があるんだよな?

 

O:ああ。自分が手がけたリミックスでさえも、普段の俺とはかけ離れちまったからね。相手から渡された素材を適当に繋ぎ合わせただけだった。

 

D:分かるよ。そうなる時もあるよね。内容よりもネームバリューに興味を持っている人がいるのさ。

 

O:俺はちゃんと君の質問に回答できてるかい? なんだか悪いね。俺っていつも頭が忙しなく回転してるから早口なんだ。話題もあっちこっちへ飛ぶしさ。

 

D:いやいや、完ぺきだったよ。まだ運転中かい? 実はまだ少し時間が残ってるんだけど、そのためにずっと運転してもらうのも悪いなと思ってるんだ。

 

O:いくらでも続けてくれよ。こっちは問題ないぜ。

 

D:助かるよ。じゃあ、この番組を聴いてくれている熱心な君のファンにために、君がどんな音楽から影響を受けたのかについて教えてもらえないかな。いくつか例を挙げてさ。

 

O:構わないけど、俺が何を話してるのか理解できない人が多いってことは最初に断っておくぜ。早口過ぎるって言われるんだ。だが、ヨーロッパにいる俺は、ほとんど話さない。あっちでは自分自身になれないから、ゆっくり話すんだ。地元じゃないからきちんと話をする必要があるってわけさ。デトロイトらしさが出せないんだ。分かるだろ? とにかく、俺が受けた影響について話をすると、まずはシカゴハウスとテクノだな。あとは、世間の大半が知らないと思うが、オハイオのファンクシーンからも影響を受けてるぜ。最高のファンクバンドの多くはオハイオ出身だってことをみんな知らないよな。

 

 

 

“デトロイトの外側に住む連中は、この街の荒廃した部分だけを見に来るのさ”

Omar S 

 

 

D:随分前に「Omar Sと共作すれば良いのに」って言われたことがあるんだ。そう考えると、こうやって話すようになったのは運命だったと言えるし、俺たちがこうして一緒の時間を過ごしているのはファンにとっては嬉しいことだと思うよ。アンダーグラウンドシーンには素晴らしい人間関係がいくつか存在する。俺たちの関係もそのひとつだと思う。

 

O:俺は誰ともビーフしない。一方的に嫌われている可能性はあるけどな。相手に勝手にイメージを作られる時があるのさ。だが、俺は他人の考えなんて分からない。自分の何に対してジェラシーを持たれているのかなんて、こっちは一切分からない。

 

D:確かにそうだね。俺はポジティブな人間だって思われているけど、本当にそうかどうかは本人を知らない限り分からない。俺にはサードアイが備わっているし、君にも備わっていると思う。だから、俺たちはそういうジェラシーのような考えやバイブスが存在しているのを感じ取れるのさ。とはいえ、どうしてそうなるのかは分からないし、説明できない。でも、誰もに好かれるパーフェクトな存在にはなれないよな。だから、こっちとしては自分たちのやるべきことをやって、自分たちが力を貸せているこの素晴らしい音楽を愛している人たちだけを見ていれば良いと思う。君のことは本当にリスペクトしているよ。ミュージシャンはもっとお互いの作品を褒め合って良いと思うんだ。これは当たり前のことだと思うし、他のミュージシャンに「あんたの音楽は最高だよ。この調子で続けてくれよ」って伝えるのはまったく悪いことじゃない。今の俺はまさにそうしたい気分なんだ。俺は君が長年をかけて生み出してきた作品群が好きだし、今のまま活動を続けて欲しい。心の底からそう思うね。

 

O:ありがとう。そういう言葉はDJをしている時にフロアからいつも伝えてもらっているよ。パーティの最後とかにさ。嘘偽りのない気持ちで言ってくれているっていうのは分かっている。ちょっと恥ずかしい話だが、笑顔になれるんだ。最高の気分になれるのさ。

 

D:世間は俺たちが彼らに感謝しているってことを今ひとつ理解できていないじゃないかな。

 

O:そうだよな。俺はみんなにそう言ってもらえることを本当に感謝しているんだぜ。「刑務所にいたけど、あんたの音楽に助けられたよ」とか、「入院中に聴いた」とか、「彼女ともめてる時に助けてもらった」とか言ってもらえると、最高に嬉しい気持ちになる。まるでGeorge Bensonでも見ているような顔をして俺を見てくれるしさ。

 

D:2017年の予定について教えてもらえるかな?

 

O:特に決まったスケジュールはないね。何しろ俺は思いつくがままだからさ。パトカーに後ろから呼び止められても、車を停めるか、停めないかは気分次第さ。特に夜は怖いからな。車の数も一気に減るし、デトロイトはある意味無法地帯だからさ。分かるだろ?

 

D:そうだね。この前俺がデトロイトに行った時も、気をつけろって注意されたよ。でも、君は自分で自分の面倒をちゃんと見ることができているように思えるし、最近のデトロイトではポジティブな動きが起きているって話も聞いたよ。

 

O:色々起きてるぜ。とんでもない数さ。パーティが沢山開催されている。デトロイトは、美味いレストランの数は少ないが、それ以外の部分はかなり盛り上がってきているな。デトロイトの外側に住む連中は、この街の荒廃した部分だけを見に来るのさ。この街の悪い部分だけを見ているんだ。奴らは廃墟を見るためだけにデトロイトに来る。廃墟ならアーカンソー州やユタ州にもあるっての。大体、なんだってそういうものを見たいと思うんだろうな?

 

D:ポジティブなものを見れば良いのに。

 

O:アホな連中は折角デトロイトへ来たってのに、Motown Museumすら覗かないんだぜ。一体、どうなってるんだよ?

 

D:そういう連中は、奇妙でダークな場所を見たがるよね。さて、そろそろ終わりだ。2017年の君の活躍を祈っているよ。リスナーのみんなは、自分の地元で彼がDJをする時は必ずチェックしてくれ!

 

O:DJ中に声をかけてくれても構わないぜ。怒っているように見えるかも知れないが、別に怒ってるわけじゃない。「話しかけて構わないかしら? なんでそんな不機嫌な顔してるの?」なんて良く話しかけられるけど、俺は別に不機嫌じゃない。普通に話しかけてくれよ。笑顔になるから。「なんでそんな不機嫌な顔してるの?」なんて言われたら、逆に笑顔になりたくてもなれないだろ? 俺たちはただ集中しているだけなんだ。

 

D:最後に何かメッセージがあれば。

 

O:デトロイトに来たら、絶対にMotown Museumを端から端まで見学しろよな。これは義務だぜ。