九月 19

Bok Bok インタビュー

Night Slugsを仕掛ける重要人物が思いの丈を明かす

前回来日した時と比べるとアーティストとしても、レーベルオーナーとしても、あなたのまわりの多くの物事が変化したかと思います。
今は日本限定のCDもリリースされていますしね。今回ご自身のクルーと共にNight Slugsとして初来日しますが、どのような思いですか?

今回は三回目の来日になるけど、やる気に満ちあふれているというのが正しい表現だね。再び日本を訪れるのが待ち遠しいよ。過去数年で日本のオーディエンスが増えたことは感じていたし、それは本当に嬉しいことだ。それに今まではソロでの来日しかしたことがなかったけれど、今回はチームでの来日だから盛り上がり方も今までのショウとは大分違うからね。

楽しみにしています。あなたの最新EP「Your Charizmatic Self」では、これまであなたが提示してきた美学に更に磨きがかかった印象を受けました。特にあなたの出自でもあるグライムが発明した生々しいサウンドスケープにおいてはそれが顕著なように思えます。このEPがどのようにして生まれたのか説明していただけますか?その根底にあったアイデアとは何だったのでしょう?

今回は自分が昔から好きな音楽に舞い戻って、それらをじっくりと理解することに長い時間をかけた。僕にはそれぞれ異なるけれど、とても具体的に音楽に関して好きな部分がたくさんあるんだ。どうやったら自分の作りたいものにそれらを結びつけることができるかについて長いこと考えたよ。このレコードを作るのはまさしく相反する物事をぶつけ合うようなものだった。例えばそれは歌とリズムだったり、高揚感と不安感だったり、クラブでかける曲とベッドルームで聞くような曲だったりする。そしてこれらはすべて、緊張感と興奮を生む為に僕がぶつけ合わせてみたかった物事だよ。

「Melba’s Call ft Kelela」でのKelelaとのコラボレーションは、その楽曲だけでなく、プロモーション・ビデオにおいても多くの人に強い印象を与えました。シングルカットもされたこの曲のアートワークとビデオのコンセプトについて教えて頂けますか?

もちろんさ。アートワークの中のあの空間はこのEPが存在する為に用意されたセットのようなものなんだ。そしてあまり詳しい断定的な説明はしない方がいいと思っている。なぜなら“連想的である”ということ、“見るものに特定の気分を与える”ということを意図してこのアートワークは作られているから。中央に位置する温室はこのEPのオーガニックで感情的な心臓部のようなもので。そしてそれは、その周りを囲む軍用テクノロジーで作られた壁と生々しいコンクリートとは対照的に、静かに保管されているものなんだ。それらは感情を区画しているとも言えるし、もっとわかりやすく典型的な男性らしさと典型的な女性らしさの対比とも言える。



日本限定CDに収録されたボーナス・トラック「Melba’s Call ft Kelela Deleted Mix」も、原曲とはまた違った雰囲気をもった、とても素晴らしいヴァージョンですね。この曲に関して説明して頂けますか?なぜDeleted Mix(削除済みミックス)と名付けられているのでしょう?

これはテープ・マシンが壊れたときにゴミ箱の中にかろうじて保存されていたミックスなんだ。機械アクシデントが起きてからずいぶんと経った後に発見したんだが、回顧とともに自責の念に胸を撃ち抜かれた気分だったよ。

初期のダブステップから最近のジュークまで、あなたは過去十年のベース・ミュージックの流行と変化を目の当たりにしてきたと思います。その中で自分の立ち位置に関してはどう意識していますか?また、ずっと変わらない信念があれば教えてください。

僕の音楽的影響や関心は何年もの間とても首尾一貫している。トラックが数ヶ月古いというだけでそれらを聴かなくなる、そんなDJたちとは違うんだ。3年前から4年前、5年前から、さらには6年も前にDJしていた楽曲の多くを未だに愛しているしね。
思うに、最も重要なことは音楽のジャンルに全体論的にアプローチすることではないだろうか。多くの人がそれを無視して、ただ数曲の音楽を聞いてそれらから自分がどう感じるかを確認するということしかしていないように思える。
あと、僕にとって音楽の何に価値があるのかということはずっと変わらないね。
それから、未だに”ベース・ミュージック”が何を意味しているのかよく分からないな。おそらくクラブのサウンドシステムの可聴領域の全てを使用した音楽のことを誰かがそう呼び始めたのだろうけど、僕の音楽にはベース以外に高音域だってちゃんと含まれているからね。笑

最近RBMAは日本のビデオゲーム・ミュージックに関するドキュメンタリー『Diggin in the Carts』を制作しました。現行のクラブ・ミュージックシーンにおける重要なアーティストたちが多数出演し、ビデオゲーム・ミュージックからの影響について語っていますが、あなたの音楽やレーベルとしてのNight Slugsには、ビデオゲーム・ミュージックやゲーム文化そのものからの影響はありますか?もしそうなら、あなたのお気に入りのゲームを教えてください。

幼い頃にはそんなに多くは持っていなくて、唯一持っていたゲーム機は「Dendy Junior」という名前のロシアで買った質の悪いファミコンのクローンだった。台湾製で、途中でセーブも出来ないような代物だったよ。
友達の家で「ゴールデン・アイ」で遊んで、そのぞっとするような張りつめた緊張感に気分が悪くなったことも覚えているな。
それから父親が「トゥーム・レイダー」の海賊版を家に持ち帰ってきた時のこともはっきりと覚えている。例のごとくロシア語に吹き替えられていたんだけど、学校が終わった後に家族のパソコンを使って取り憑かれたように遊んでいた。(そしてときには学校に行く前にもね!)

でも8ビットや明るいデジタル音、ピクセルやブリープ音といったような、通常考えられているゲーム文化の典型的な美学といったようなものからの、直接的な影響は僕にはないかな。
ただ僕がゲームで遊んだ経験からNight Slugsに引き継がれたと思うのは、その独特な環境感覚だろう。それはときには破滅を予兆するような感覚であり、ときにはひとりぼっちで居るような感覚。それはこれから始まる冒険への得体の知れない不安感であり、あのデジタル空間がまるで手で触れられるような実体のように感じられてくる感覚だ。

今年リリースされた「Icy Lake EP」からRizzlaがエディットしたGirl Unitの楽曲「Club Rez RIZZLA’s “Club CECILE” bootleg」に至るまで、Night Slugsとその姉妹レーベルFade To Mindのコラボレーションは非常に興味深いです。このイギリス・アメリカ間のプロデューサー/DJ陣による素晴らしいネットワークはどのようにして構築されたのですか?そしてこれからこのコラボレーションの予定は?LAに引っ越してFade To Mind周辺のシーンとより密接になりたいなどとは思いますか?

KingdomとPrince Williamも近々ロンドンに引っ越すつもりなんて全くないと思うけど、同様に僕も近々LAに引っ越すつもりはない。Fade To Mindの事は愛している。それが僕らに与える影響に関してもね。だけどそれとはまた違った僕ら自身のユニークなカルチャーがロンドンに存在している。僕らは“姉妹“だけど”双子“ではないんだ。
今後のコラボレーションに関しては、その可能性は無限に等しい。僕らがいつもクルーのことを“Night Slugs ∞ Fade To Mind“と表記するようにね。
それは永遠に続く影響のループであり、思いやりと協力だ。僕らは家族なんだから。



レーベルロゴがミッドナイトヴァージョンに変わったのはどういう気分からですか?

エヴォリューション(進化)さ!

ちなみに今日聞いた音楽を教えて頂けますか?

この返事をタイプしているまさにたった今Austin Paraltaの『Endless Planets』が終わったところで、今Suburban Baseからリリースされているハードコアのレコードをかけたよ。最近はAugust Alsina、Snootie Wild、Young Thug、Migosなんかを聞いている。あとはJam Cityの新しいアルバム。

レーベルの今後の予定について教えてください。この数年であなたを中心に形成されたNight Slugsのカルチャーをどのように発展させたいと思っていますか?

今後リリース予定の作品以外で、自分にとって今最もエキサイティングなことは“Club Rez”だ。僕らがロンドンやそれ以外の場所のクラブで新しく展開する小規模なイベントだよ。生々しくて、小規模で、サウンドシステムがしっかりしているということが僕にとってはとても重要なことで。新しい世代のアーティストやDJがどんどん出てきているから、僕らのホームにも新しい流れを生みたいとずっと思っていた。それが“Club Rez“なんだ。そしてClub Constructions Communityもね。次の世代が育っていくことを少しでも手助けできたらと思っているから。

<Red Bull Music Academy presents NIGHT SLUGS LABEL SHOWCASE>
日程:2014.9.22 MON|OPEN-START=23:00
場所:代官山ユニット
入場料:前売 2,500円/当日 3,500円

LINE UP

BOK BOK
L-VIS 1990
GIRL UNIT

A TAUT LINE (GREEEN LINEZ / DISKOTOPIA)
1-DRINK
ENDLESS (NEO TOKYO BASS)
FRUITY (SHINKARON/FLIGHT MUZIK)
PENPEN 922 (KOKO MIYAGI + KONIDA)
TOMAD (MALTINE RECORDS)
LICAXXX
BACON(VJ)

ADV[8.8 on sale]=2,500yen[tax in.]|DOOR=3,500yen[tax in.]
*LAWSON[L-code 70667]/e+/DISK UNION[渋谷クラブミュージックショップ/新宿クラブミュージックショップ/下北沢クラブミュージックショップ]/TECHNIQUE/BEAMS RECORDS/JET SET TOKYO/UNIT

この秋、東京に初上陸するレッドブル・ミュージック・アカデミー主催のもと、現在最も注目されている英国"Night Slugs"のレーベル・ショウケースを9月22日(月・祝前日)代官山UNITにてアジア初開催。レーベルを主宰するBok Bok(ボク・ボク)、L-Vis 1990(エルヴィス1990)とGirl Unit(ガール・ユニット)の3名が来日する。2008年にロンドンのクラブナイトとして始まった"Night Slugs"は、主宰のBok BokとL-Vis 1990の唯一無比のヴィジョンによって、若く才能あふれるアーティストが多く集まるコミュニティとなった。2010年にレーベルとして再ローンチして以来、野心的かつ革新的なクラブ・ミュージックを発信し続けており、Mosca(モスカ)やJam City(ジャム・シティ)、Girl Unitなどの才能ある新人アーティスト次々と世に送り出し、Kingdom(キングダム)やEgyptrixx(エジプトリクス)、Lil Silva(リル・シルヴァ)などのプロデューサーたちの活動の場であり続けている、近年最も勢いのあるダンスミュージック・レーベルである。グライムを軸に、シカゴハウス、R&B、テクノ、ボルチモア/ジャージークラブ、80sファンクなど、ジャンルを縦横無尽にまたぎ、冷たく、生々しいベースサウンドで2010年代のUKダンスミュージックをアップデートし続けている"Night Slugs"の世界を体感しよう。

BOK BOK|ボク・ボク
Night Slugs(ナイト・スラッグス)のディレクターを努めるDJ/プロデューサーのBok BokことAlex Sushon(アレックス・スション)。2009年にL-Vis 1990と共にリリースした"Night Slugs EP"にてデビュー。2011年5月には自身のレーベル、Night Slugsから"Southside"EPを発表し、収録曲"Silo Pass"がクラブヒットした。2013年にはLAの姉妹レーベルFade To Mind(フェイド・トゥ・マインド)より鮮烈なデビューを果たしたシンガー、Kelela(ケレラ)のミックステープ"Cut 4 Me"に楽曲を提供。2014年には三年ぶりのソロ作品"Your Charismatic Self"EPを発表し、Kelelaの歌声をフィーチャーしたシングル"Melba's Call"では、スタイリッシュなPVとともに、官能的かつ機械的なその独自の世界観が貫かれている。

L-VIS 1990|エルヴィス・1990
Brighton出身のDJ/プロデューサー、L-Vis 1990ことJames Connolly (ジェームス・コノリー)。2008 年に"L-Vis 1990 EP"にてデビューし、同年Bok Bokと共にクラブイベント"Night Slugs"をスタートする。翌年にはMad Decent(マッド・ディセント)やSound Pellegrino(サウンド・ペレグリーノ)などの大御所レーベルからも作品をリリースする。2011年に発表したアルバム”Neon Dreams”ではシンセポップを、2013年にDance System名義で発表した"Dance System EP"ではクラシックなシカゴハウスのサウンドを鳴らすなど、レーベルの多岐にわたる音楽性を体現しているアーティストである。

GIRL UNIT|ガール・ユニット
ロンドンを中心に活動するDJ/プロデューサー、Girl UnitことPhilip Gamble(フィリップ・ギャンブレ)。 2010年に"I.R.L" EPにてNight Slugs(ナイト・スラッグス)よりデビューし、同年同レーベルより発表したシングル"Wut"がクラブヒット。クラシックな808や909のリズムにラップやグライム、R&Bのトラックをミックスする彼の独創的なスタイルはUSクラブサウンドのポップネスとUKサウンドの伝統を兼ね備えている。2012年にはアナログ機材を使用して作られた6曲入りEP"Club Rez"を発表。2013年に、Hysterics(ヒステリックス)名義で発表した"Club Constructions Vol.5"ではインダストリアルで冷たいダンスビートを披露している。

UNIT
http://www.unit-tokyo.com|tel.03-5459-8630
20歳未満の方のご入場はお断り致します。年齢確認のため、顔写真付きの公的身分証明書をご持参ください。
You must be 20 and over with photo ID.