十二月 22

Lee “Scratch” Perryが語るスタジオ焼失事件

12月頭にスイスのプライベートスタジオを焼失したLee “Scratch” Perry。火事について本人が振り返る。

By David Katz

 

「最初、俺には何が起きているか理解できなかった。だが、“第2の審判” なんだということに気が付いたのさ。どうしてそうなったのかは分からないがね」

 

Lee “Scratch” Perryはジャマイカの海岸沿いの隠れ家でアマガエルとコオロギの鳴き声と張り合いながら、12月1日にスイスの自宅の地下にあるスタジオが焼失した時の自分の気持ちを電話で説明しようとしていた。「あの時、多分俺の意識はどこか別の場所にあったんじゃないかな。別に俺の意識がスイスにある必要はどこにもないだろ? 恐らく天国にでもいたんじゃないか」彼は自分の行動よりも意識について言及した。

 

Perryがこの火事を “第2の審判” と呼んだのは納得がいく。なぜなら彼は1980年代初頭にも、ジャマイカのキングストンにあった伝説のスタジオBlack Arkを失っていたからだ。本人は長年に渡り、このBlack Arkが無くなった理由についてあれこれと矛盾する説明を繰り返しているが、その当時ここに出入りしていたアーティストと取り巻き連中のネガティブなエナジーに仕向けられ自分自身で火を付けたという点についてはことさら強調している。

 

しかし、このスイスの “Secret Laboratory(秘密の研究所)” の場合は状況が違った。ここはPerryが個人で使用しているスタジオで、入室を許された人数はごく僅かだ。上階に住むPerryの継子で、彼のツアーにアシスタントとして随伴することも多いNoelでさえも、Perryがヴォーカルレコーディング・絵画・ジャンクアートを生み出すクリエイティブスペースとして、またファンの間では有名なハンドメイドのステージ衣装の保管場所として利用しているこの部屋への入室は許されていなかった。アートワークやステージ衣装、そして音源のほとんどすべてを焼失してしまったPerryは意気消沈していた。

 

「消防士が消火したあとにスタジオを覗いてみると、すべてが黒焦げだったの」Perryの妻Mireilleが振り返る。「Leeのスタジオは完全に焼失してしまったわ。すべてが消えてしまった。Perryには履く靴さえも残っていなかったのよ。炎と水でまるで地震のあとみたいに滅茶苦茶になっていたわ」

 

 

火事はMireilleの誕生日の翌朝に起きた。Mireilleの誕生日は2人の結婚記念日でもあったが、2人は特に記念日を祝うことはなく、PerryはそのスタジオでMireilleが手がけた曲や、Perryの友人で共同制作者でもあるRanking AlphaことRaffaele Felloなどのために用意した曲に取りかかっていた。「ある曲に取りかかっていたんだが、他の曲のアイディアを思いついたからまたスタジオに戻ったのさ。それで結局朝の6時位まで作業を続けた俺は、スタジオを出る時にキャンドルを消し忘れてしまったんだ。キャンドルは聖書の上に置いてあったんだ。Mireilleから『キャンドルに気をつけて』と言われることもあったが、あの時は朝まで作業をしていたし、すっかり忘れてしまっていた」

 

「基本、Leeにはキャンドルを手渡さないようにしているの。でも、3日前にフォトグラファーが撮影に訪れた時に、Leeが小道具として白いキャンドルを欲しがったのよ」

 

 

 

だから俺は今ジャマイカにいるのさ。神がなぜそう思われたのかを理解するためにね

− Lee “Scratch” Perry

 

 

 

このスイスの火事は明らかにアクシデントだが、「すべての運命は定められている」と考えるPerryにとって、このようなネガティブな事件が偶然として片付けられることはない。Perryは以前から自分の敵が遠くからネガティブなエナジーを送ってきていると繰り返し発言している。「そういう敵は、虚栄心を満たすために魔術を使っているのさ。俺のこの地位を欲しがっている奴らは、魔術で炎を送り込んでくる。炎というのは世界を支えるエレメントだから、誰も敵わない。水だけが炎に対抗できる存在だが、炎は炎で水に対抗する存在だ」

 

しかし、このような大混乱のあとでも、Perryはこの火事について非常に冷静に受け止めていた。火事から数日後、本人がソーシャルメディア上でこの件について報告すると、心配するファンの声が多数投稿され、精神的な支えになった。現在ジャマイカで充電中のPerryは、来年3月にUKとアイルランドで開催されるMad Professorとの80歳記念ツアーを楽しみにしている。Perryはジャマイカから直接現地に赴いてツアーをスタートさせるため、献身的なファンがステージ衣装を用意してくれることに期待したい。

 

「何かが起きる時は、俺が願ったから起きるわけじゃない。次に何が起きるかは俺には分からない。起こってしまったことは仕方がない。それは神の思し召しだ。だから俺は今ジャマイカにいるのさ。神がなぜそう思われたのかを理解するためにね」