三月 21

Acid Over Hollywood:『ブレイド』が生んだアシッドアンセム

1998年に公開されたウェズリー・スナイプス主演ダークヒーローアクションのオープニングシーンに起用されたアシッドトラックは世界で最も知られているレイブアンセムのひとつだが、そのタイトルを言える人の数が驚くほど少ないのはなぜなのだろうか?

By Gabriel Szatan

 

世界で最も良く知られているオールタイム “レイブ” トラックは一体どれなのだろうか? 

 

ヴァース・コーラス・ヴァースで構成されているトラックは全て除き、そのステータスが法的に危険なデシベルレベルから永遠に落ちることのない、スモーク、ストロボ、ピル、ビール、血、騒乱を伴うインストゥルメンタルアンセムに限定する。クラビングをすぐさま想起させるような、Funktion Oneが積み上げられた壁は言うまでもなく、クラブを一度も体験したことのない人が、クラビングとすぐに結びつけるトラックのことだ。

 

候補として最初に思い浮かぶのは、「The Bells」のあの永遠の鐘の音かもしれない。懐古主義者なら、Liquid「Sweet Harmony」の甘美なハードコアサウンドに引き寄せられるだろう。ミレニアムのこちら側では、Zombie Nation「Kernkraft 400」が今もスポーツスタジアムで鳴り響いており、Darude「Sandstorm」も消え去るのを拒否しているが、どちらもウェアハウスを楽しませるトラックというよりは珍妙なトラックだ。

 

しかし、これまでの長い時間の中で、間違いなく最も多くの人たちの耳に届いていて、最も良く知られているはずのトラックも、実はほとんどのクラブファンがタイトルを言えないという不思議なトラックだ。しかし、このトラックがリリースされた当時完全に地に落ちていた企業、Marvelのおかげでサウンドの認知度は非常に高い。

 

当時Marvel Comicsと名乗っていた彼らが経営破綻してから1年余りが経過し、スーパーヒーロー系と呼ばれるジャンルが低迷していた1998年、彼らはMarvel Entertainmentとして再出発し、人間とヴァンパイアの混血で、ブラックレザーに身を包んだ黒人のダークアクションヒーロー(ウェズリー・スナイプス)を主人公に据えたスリラー映画に社運を賭けた。

 

『ブレイド』は、のちに現代の映画業界をほぼ完全に制圧することになるMarvelの指標となり、さらには、ダークなクラブを大作映画の汚れないカメラレンズのフレーム内に取り入れたサブジャンル、『ボーン・スプレマシー』、『ソードフィッシュ』、『XXX』、『マトリックス』などに代表され “スタイリッシュでスピーディなアクション映画” の指標にもなった。そして、Marvelがこの賭けに勝てた大きな要因のひとつに挙げられるのが、血まみれのオープニングシーンだ。

 

 

Blood Rave 2015 ©Tim Taylor

 

 

精肉工場の通路を抜けると、その奥にある扉が開く。中に入った男は、何か楽しいことが待っているだろう期待と共に混み合ったフロアをかき分けて進んでいく。しかし、男は自分がどこにいるのかどんどん分からなくなっていく。フロアが亜硝酸アミルで満たされていて息苦しいのかもしれない。すると突然、男の頭上に赤い液体がポツポツと落ち始め、次の瞬間、それが真紅の水流に変わる。天井のスプリンクラーから血が散布される中、哀れな男は自分がヴァンパイアに囲まれていることを理解する…。

 

この一連のシーケンスを加速させているのが、空爆のように激しく鳴り響くアシッドサイレンだ。激しく旋回する狂乱のミサイルのようなそのサウンドは、しかし、ウェズリー・スナイプスの登場によって一気に静まり返り、クラブのバイブスも失われる。

 

コミックが原作らしく随所が誇張されているが、このシーンは当時のレイブカルチャーを驚くほど正確に捉えている。

 

あご髭を生やしているDJは、映画内にはクレジットされていないが、シカゴのベテランDJ、Bad Boy Billだ。Bad Boy Billはミックステープをビジネスに変え、DJ Pierreの初期作品群を世に出したあと、ハードハウスに方向転換した人物として知られている。頭部にOrbitalを彷彿とさせるヘッドライトが装着している彼がプレイしているピークタイムウェポンは、危険な香り、瞳孔が開く解放感、鼻血を伴う興奮が得られるサウンドで、殴りつけるように激しかった1990年代後半のクラブサウンドを見事に再現している。このシーンにセリフやサウンドエフェクトはほとんど使われていない。

 

我々の耳に入ってくるのは、4分間に渡り延々と大音量で鳴り響く、「Confusion (Pump Panel Reconstruction Mix)」とクレジットされているアシッドテクノだけだ。

 

公開年(1998年。日本は1999年5月)の『ブレイド』は、米国の平均的な映画鑑賞料金が4.7ドルだった時代に、全世界で1億3,100万ドルの興行収入を記録した。つまり、世界中の映画ファン約2,500万人が「Confusion」のこのバージョンを聴いたことになる。そしてここに、後発のホームメディアや、当時はまだ黎明期だったP2Pネットワーク経由の違法ダウンロードも加わる。さらに言えば、DJがそのオーバードライブされたTB-303のリードフレーズをプレイしているのをクラブで聴いた人や、このトラックのコピーキャットトラックを聴いた人も数多く存在した。これは、何百万、何千万の人たちが無意識のうちに知っている、そして同時に知らないトラックなのだ。

 

 

 

"シルバーにカスタムペイントされていて、黒いビニールテープで “X” と貼られていた古臭いエフェクトペダルがゲームチェンジャーになった。製品名? 分からないな"

Tim Taylor

 

 

 

この凝血のクラブバンガーの元ネタは、意外なことにNew Orderだ。1983年の晩夏、マンチェスター出身の内気なバンドは、プロデューサーArthur Bakerのコンビが生み出したキレのあるフリースタイルジャム「Confusion」をリリースした。

 

このトラックは十分なクオリティを備えていたが、その前にリリースされたシングル「Blue Monday」とアルバム『Power, Corruption, & Lies』という、2つが生み出す大きな影に埋もれている。また、1987年にバンドは初のベスト盤『Substance』のタイミングでこのトラックをレコーディングし直したが、結局、1998年8月のReading Festivalを除き、『Substance』に伴うツアーのセットリストには含まれなかった。ちなみに、Reading Festivalが開催されたのは『ブレイド』の公開週だった。

 

1993年にNew Orderが活動を停止すると、所属レーベルのLondon Recordsはバンドとの契約を完了させるために、グレイテストヒッツ2枚 ― 既存曲を再レコーディングした『(the best of) New Order』と、London Records傘下のFFRR周辺のアーティストたちによるリミックスを集めた『(the rest of) New Order』 ― をリリースすることを決定した。後者には、Armand van Helden、Shep Pettibone、Paul Oakenfoldなどが参加していたが、1994年冬にFFRRのオフィスへ呼び出されたリミキサー陣のひとつが、Tim TaylorとDan Zamaniによるプロダクションチーム、The Pump Panel(Pump Panel)だった。

 

 

New Order「Confusion」のマスターテープ ©Tim Taylor

 

 

 

Taylorは、この頃すでに音楽業界では良く知られた存在だった。彼は1980年代後半から1990年代前半にかけて、KLF、Frankie Bones、Womack & Womack、Guru Josh、Jungle Brothers、Ice-T、そして世界的なハウスムーブメントに乗ったシカゴDJたちのブッキングエージェント兼ツアーマネージャーとして働いていた。また、「レイブという大きな嵐に呑み込まれたんだ」と当時の自分を振り返っているTaylorは、Egyptian Empire名義の「The Horn Track」などのトラック群によって、クラブシーンである程度のヒットも生み出していた。

 

しかし、Taylorが「新進気鋭のアーティスト」としてテクノシーンから注目を集めることになったのは、本人が「クソファンキー」と表現する、ZamaniとのプロダクションチームThe Pump Panel名義で、このチームには、Synewaveの創設者Damon Wildも部分的にミックスダウンやトラックメイクで参加していた。

 

The Pump Panelは「ベースライン、フック、ループ、狂気的なノイズ、クレイジーなボイスサンプル」にフォーカスしていたチームだった。これは非常にシンプルなフォーカスに思えるが、彼らが1994年のヒットさせたアシッドテクノ「Ego Acid」は、強烈なTB-303のベースラインに相応しいドラムサウンドとエフェクトを用意してトラックを正しくドライブさせるために、数ヶ月間スタジオでトライ&エラーを繰り返した結果だった。SynewaveとTaylorのレーベルMissile Recordsから同時にリリースされたこの12インチは、Carl Coxが1995年初めにリリースしたミックスCD『F.A.C.T』に収録されたこともあり、最終的に10万枚近く売れた。この結果、彼らはアンダーグラウンドシーンで一気に知名度と高めると同時に、後発の作品群に繋がる基盤を作り出すことにも成功した。

 

FFRRがThe Pump Panelに出した最初のオファーは、「Blue Monday」のリミックスだったが、彼らはこのオファーをパスした。以前からNew Orderの大ファンだったTaylorは、自分の中でパーフェクトなこのトラックを上回るのは不可能だと考えたのだ。その代わりとして彼らが選んだのが「Confusion」だった。しかし、彼らが提出した「Reconstruction Mix」は、オリジナルとは大きく異なる過激なトラックだったため、1995年3月のKiss FMでの世界初オンエアでNew Orderの名前が触れられることはなかった。また、その後のメディア展開でもNew Orderの名前はほぼ挙がらなかった。

 

しかし、FFRRは彼らの仕事ぶりに大いに満足した。その満足ぶりは、Lil Louis「French Kiss」の2インチマスターテープを彼らに送ってリミックスをオファーするほどだったのだが、ここでもまた、The Pump Panelは賢くこのオファーを断った。しかし、その2インチテープは記念として取っておくことにした。

 

 

「Confusion (Pump Panel Reconstruction Mix)」テストプレス ©Tim Taylor

 

Lil Louis「French Kiss」未発表リミックスのテストプレス ©Tim Taylor

 

 

 

また、内容だけではなく「Reconstruction(再構築)」というタイトルもトラックの内容とかけ離れていた。New Orderのオリジナル(Taylorはその低域を “ピンポンボールが跳ねているような感じ” と表現している)と、彼らによる10分間の大虐殺は、完全に異なる存在だった。オリジナルが維持されているのはヴォーカルとコーラスだけで、しかも、どちらもミックスの奥深くに埋め込まれている。しかし、「Ego Acid」をさらにマッチョにしたバージョンとも言えるこのトラックだが、実際のスタジオでは、TB-303のベースラインが40パターンほど試された。そして、それでも彼らは何かが足りないと感じており、それが何なのかを見出せずにいた。

 

不足していたのは “埃” だった。

 

ロンドン・ブリクストンのButterfly Studiosに籠もっていたTaylorとZamaniは、このスタジオを共有していた “ブリットポップの落伍者たち” が残していった、汚らしくて古びたギターエフェクト群を試し始めた。2人は、何とかして強烈なトラックを生み出したいと思っていた。「あの瞬間がゲームチェンジャーになった」とTaylorは振り返る。「古臭いエフェクトペダルだった。シルバーにカスタムペイントされていて、黒いビニールテープで “X” と貼られていたあのペダルを使った瞬間がね」

 

そして、彼らがその聖なるディストーションを採用したその瞬間から、無数のパッチテストオンラインチュートリアルを生み出されることになった。彼らが使ったエフェクトペダルの形式やモデルは何だったのか? Taylorは「今も分からない」と回答している。

 

「Confusion」のThe Pump Panelバージョンは大ヒットしたが、リリース当初はそこまでのヒットではならなかった。当時、このトラックは、ロサンゼルスのクラブシーンで局地的に好まれており、Tony B!、Richard “Humpty” Vission、DJ Dan aka Daniel WherrettのようなDJたちのレコードボックスのレギュラーだったのだが、1996年のある晩、Wherrettは「結局、あのレコードは3枚買うことなったんだ。大のお気に入りだったからさ」と振り返るそのトラックを、ソールドアウトとなったロサンゼルスのウェアハウスパーティでプレイしていた。その時、彼はブースからLL Cool Jの代わりに『ブレイド』の主演を務めることが決定したばかりのウェズリー・スナイプスが来ていることを確認した。

 

その翌月も、スナイプスは数多くの友人を引き連れてDJ DanがプレイしていたハリウッドのMartini Loungeで開催されていたパーティに顔を出すと、ブース横でWherrettに挨拶をした。「Reconstruction」がスナイプスの耳に届いたのはこれが2回目だった。そして “契約がまとまる” には十分だった ― スナイプスはWherrettからトラックIDを教えてもらうと、自分の制作会社Amen-Ra Filmsへ向かい、FFRRからこのトラックをライセンスしてもらうように頼んだのだった。

 

結局、『ブレイド』のサウンドトラックは1999年春までにゴールドを獲得した。このサウンドトラックには、Bizzy Bone、EPMD、Mobb Deepなど豪華アーティストが参加していたが、世間の話題になっていたのは、無名のアシッドトラックだった。

 

Taylorが『ブレイド』をチェックするために映画鑑賞券を購入した1998年11月、この映画はすでに米国のボックスオフィス・ナンバーワンを獲得していたが、シンジケーションによる公開日のずらしはまだ存在せず、公開前に情報が大量にリークされる時代でもなかったため、Taylorは『ブレイド』におけるこのトラックの存在感の大きさについて何も知らなかった。そして映画館に座った彼は、そのパワーに圧倒されることになった。「興奮したヴァンパイアたちの上に血が降り注ぐ映像とシンクロしたアシッドフレーズを聴いて顎が外れたよ。映画とダンスミュージック両方の歴史に残る瞬間だった」

 

『ブレイド』は、熱心なコミックファン以外にほとんどストーリーが知られていないモダンなスーパーヒーロー映画で、非常にレアな存在で、鑑賞した人の多くが “似ているものがない” と思っていた。その中で、「Confusion」は初体験に近いショックを生み出し、世間はあの303のベースラインをレイブのイメージと本能的に結びつけた。こうして、Taylorは成人してから関わってきたシーンの最前線に突如として立つことになった。本人は「自分の音楽がああいう形で “不滅の作品” になるのはプライスレスな体験だよ」と語っている。しかし、この映画の主人公と同じで、「不滅の存在」には複雑で想定外の問題がついて回る。

 

 

 

"インターネットの掲示板で、2人の努力の結晶と言えるサウンドをかなりの精度で再現できる方法が明らかになると、そのサウンドが簡単に “ドラッグ&ドロップ” されて、ハードハウス、エレクトロトラップ、プログレッシブトランスシーンでチージーなオフシュートトラックが大量に生み出されるようになった"

 

 

 

2000年12月9日、UKシングルチャートをチェックするためににBBC Radio 1にチューンインした人は、BBCがミスをしたと思ったかもしれない。なぜなら、酷似している2トラックが数分以内(9位と5位)で立て続けにオンエアされたからだ。ひとつは、Public Enemyのフレーズを用いており、もうひとつは、“体内を血が激しく巡る” という犯罪者のセリフを用いていたが、両トラックのハードグルーヴを支えていたベースラインは同じだった。アレンジされることなく堂々とオリジナルのまま使われていたその2つのフレーズは、素人には完全に同じに聴こえた。

 

『ブレイド』の公開から2年後にリリースされた、Public Domain「Operation Blade」とWarp Brothers vs. Aquagen「Phatt Bass」は、チャート上位に食い込んだ。ハードハウスとトランスがテクノの人気を上回り、ヨーロッパクラブシーンのメインストリームサウンドになっていたが、The Pump Panelの「Reconstruction」の不良感と瞳孔を開かせる高揚感のコンビネーションは、ダンサーとDJの趣向が変わっても好まれ続けていた。その偏在性が、まるでRolandのエンジニアが用意したプリセットサウンドのように、TaylorとZamaniの作品をオープンソースとして使用することを許可していたのだ。

 

2001年には、Public Domainはまだトップ40圏内に留まる中、3トラック目となる、Voodoo & Serano「Blood Is Pumping」がUKシングルチャートのトップ20に入った。この2トラックは百万枚単位の売上を記録した。

 

Taylorはこのようなコピーキャットトラック群を「哀れな努力だ。才能のない連中さ」と評価しているが、The Pump Panelのトラックにまつわるトラブルはさらに続いた。インターネットの掲示板で、2人の努力の結晶と言えるサウンドをかなりの精度で再現できる方法が明らかになると、そのサウンドが簡単に “ドラッグ&ドロップ” されて、ハードハウス、エレクトロトラップ、プログレッシブトランスシーンでチージーなオフシュートトラックが大量に生み出されるようになった。また、当時のアリーナレイブに集まっていたオーディエンスたちは全く気にしているようには見えなかった

 

そのため、2000年代前半のTaylorは、The Hacker、Inigo Kennedy、DJ ESPを含むMissileのアーティストたちのマネージメントと、自分たちの作品を不法に使用して儲けていたプロデューサーたちの利益から一定の割合を受け取るための訴訟に注力することになった。Taylorは「最終的にThe Pump Panelは正当な利益を得ることができたが、そこまでは多くの我慢が必要だった」と語っている。

 

 

2015年のハロウィンにアムステルダムで開催されたBlood Raveに出演したThe Pump Panel ©Dan Zamani

 

 

 

すでに血で汚れていた水をさらに濁すことになったこのような混乱の数々は、The Pump Panelの正当な評価の邪魔になり続けている。「Reconstruction」の断片化された人気をひとつにまとめて評価するのは非常に難しい。リリース後に世に出たコピーキャットトラック群を考慮すれば、もはや不可能だ。

 

サウンドはそっくりだがタイトルは全て異なる、YouTubeのランディングページに表示される数多の動画の合計視聴回数は4,000万回弱もある。そこから「Bloodbath Remix」、「Vampire Dance Club」、「Blood Rave HQ」のような複数の組み合わせが考えられるワードやタグが含まれている動画を除くと、正式なタイトルでアップロードされている正式なトラックの動画の再生回数は約65万回だ。これは、チャートを賑わせたどのコピーキャットトラック単体よりも、そしてRammsteinのトラックと誤記されている動画2本の合計再生回数よりも少ない数字だ。

 

Taylorは、もっとヒットしているべきだったが、自分たちの望みとは違う形でそうなってしまったこのトラックについてやりきれない思いを抱いているわけではない。Tne Pump Panelは正当な存在であり続け、チープなギミックなしで唯一無二の知名度を獲得した。Taylorも「『ブレイド』のエンドロールにちゃんとクレジットされていることが、自分たちの正当性の究極の証明だ。俺たちにはそれで十分だ」とコメントしている。

 

しかし、近年開催された、映画のレイブシーンを再現したコンセプトイベントによる人気再燃が、彼らの知名度を再び高める助けとなっている。

 

 

アムステルダムの洗濯業界を潤したBlood Rave ©Tim Taylor

 

 

2015年、「Blood Rave」が2回開催され、何千人ものレイバーたちが真紅のコーンシロップを浴びた。Taylorもアムステルダムで開催された回でプレイした。しかし、当然と言えば当然なのだが、世間の注目は別の回、ニューヨークのTerminal 5でのイベントに集まった。こちらは、The Pump Panelの代わりに『ブレイドII』にサウンドトラックを提供したThe Crystal Methodと、Voodoo & Seranoが出演した。

 

「俺たちのリミックストラックのインパクトは、1990年代よりも今の方が大きくなっているように思えるね。このトラックは、アンダーグラウンドな12インチからスタートして、アシッドテクノのカルトクラシックになり、それからサブカルチャーのカルトサウンドトラックになるという実にユニークな軌跡を辿ってきた。映画を通じて若い世代が継続的にこのトラックに出会っているから、このトラックのストーリーは進化し続けていくだろう」と語るTaylorは、スナイプスがまた声をかけてきた時に備えて「『ブレイド4』のためにThe Pump Panelの未発表トラックも残してある」と続けている。

 

それでも、どの牙より深く刺さり続けるのは、“最初のひと噛み” であり続けるだろう。『ブレイド』は、誰も望んでいなかったが、嫌がってもいなかった、レイブカルチャーとのファーストコンタクトとRoland TB-303の印象的な叫びを、全世界何百万人もの人たちに提供することになった。New Orderの仲が良いままだったら、もしくはは、LL Cool Jが『ブレイド』の主演を務めていたら、アシッドに対する世界のイメージは、今とは完全に違っていたかもしれない。

 

 

 

Header image:©Tim Taylor

 

22 Mar. 2019