三月 23

A Guide to New Classical

ニュークラシック入門:クラシックを取り入れたエレクトロニック・ミュージックの世界

By Emma Robertson

 

クラシックを取り入れたエレクトロニック・ミュージックのアーティストの数は最近増えたのは何故だろうか? ピアノのララバイから静かな木管楽器の響きまで、クラシック音楽及び楽器を大きく取り入れているアーティストを紹介する。

 

 

KIASMOS
Olafur ArnaldsとBloodgroopのJanus Rasmussenの2人から成るKiasmosはミニマルとクラシックとアンビエントを用い、ダークで陰気だが美しい、交響曲と嵐を組み合わせたような音楽を生み出している。アイスランドにあるArnaldのスタジオで生み出された彼らの作品にはストリングカルテット、ドラマー、そしてArnaldsのグランドピアノがフィーチャーされている。

 

NILS FRAHM
コンテンポラリーなクラシックにおける新基準を継続的に生み出しているドイツ人アーティストNils Frahmは、ここ数年でファン層を拡大してきた。独特のうねりがある「Says」、「Said and Done」、「Hammers」以外の楽曲は比較的おとなしいものの、彼の楽曲はどれも非常にエモーショナルで、エレクトロニック・ミュージックとしては珍しいスタイルと言える。

 

 

LUDOVICO EINAUDI
クラシックの正式な教育を受けた作曲家・音楽家のLudovico Einaudiは映画『最強のふたり』や『容疑者、ホアキン・フェニックス』の音楽を手がけたことで知られているが、シンセとピアノを組み合わせた2009年の『Nightbook』などのソロワークも人気が高い。最近リリースされた『In A Time Lapse』はオーケストラとピアノの作品だが、StarkeyやPhaelehなどによるダンスフロア向けのリミックスがリリースされている。

 

GIDGE
地元スウェーデンの風景に触発されたGidgeのサウンドスケープは「動」よりも「静」の側面が強く、物静かなピアノがフィーチャーされている。彼らの生み出すメロディーは微風のようなそのムードと合わさり、時としてメランコリックだが、素朴なパーカッションと木管楽器、そしてその下を支える他の楽器群の見事なコンビネーションが彼らを独特の存在にしている。

 

 

BONOBO
2010年にリリースされた『Black Sands』以降、 Bonoboはベル、ドラム、ギター、フルート、ストリングス、シタールなどを取り入れた豊かなテクスチャの幻覚的なダウンテンポという、現代のエレクトロニック・ミュージックの中で最も特徴的なサウンドのひとつを生み出し続けており、エレクトロニック・ミュージックがオーガニックな音楽になり得ることを証明してきた。

 

CHRISTIAN LOFFLER
Christian Lofflerは「ティンティナブリ」のような独自のメロディーやストリングス、伝統楽器を使い、ゆっくりと確実にビルドアップしていくロングトラックが特徴のアーティストだ。彼のディープでエモーショナルな作品群はヘッドフォンでもダンスフロアでも機能する。

 

 

MAX COOPER
Max CooperのDJセットはノイズ、アンビエント、グリッチを取り入れたフロア重視のサウンドだが、彼の作品群はDJよりも内省的だ。最新の『Humans』ではIDM、近代クラシック、ディープテクノを上手く取り入れており、ピアノの断片的なフレーズが、鋭いテクノやホワイトノイズの波、そしてKathrin deBoerの美しいゴスペル調のヴォーカルに静かだが堂々とした形で寄り添っていくスタイルが披露されている。

 

 

LUBOMYR MELNYK
ウクライナ出身のピアニスト・作曲家のLubomyr Melnykは世界最速のピアニストのひとりとして知られている。1秒間で19.5音を弾くその奏法を本人は「コンティニュアス・ミュージック」と呼んでおり、矢継ぎ早に繰り出される打音で構築される彼のその演奏は1曲30分以上になる時も多い。その高速奏法とペダルを駆使した音の重ね方は、現代のミキシングテクニックへの彼からの挨拶だ。

 

 

BRANDT BRAUER FRICK
エレクトロニック・ミュージックを制作するクラシック出身のアーティストBrandt Brauer Frickは、通常のパターンとは「逆」だ。「テクノロジーを使わないテクノ」を生み出そうとしている彼らは、ドラム、ピアノ、バイオリン、ハープ、トロンボーン、そしてシロフォンさえも取り込み、複雑だが面白い音楽を生み出している。その多種多様な楽器がふんだんに使用されたアルバム群には、彼らのライブに共通するリラックスしたムードが盛り込まれている。

 

MAX RICHTER
今回のリストの中で最も重要なアーティストと言えるMax Richterは、このジャンルの人気獲得に貢献した作曲家で、革新的な活動を続けている。Future Sound of Londonなどのエレクトロニック・アーティストたちとのコラボレーションや、Brian EnoPhilip Glassの作品を独自に解釈した演奏などを行ってきた彼は、2012年にはVivaldiの代表作『四季』の再構築も行った。